『犬はどこだ』 米澤穂信

 犬を探す話かと思ったら犬を探す話ではなかった。なんか犬と会話できるとか特殊能力に恵まれた主人公なのかと思ったらそんなわけでもなかった。妹に恵まれてるだけだった。妹小説だった。妹はどこだ。

 別に米澤穂信に詳しいというわけでは全くないが(だからこそこんな初期作品いまごろ読んでるんだけど)、いかにも米澤穂信感が出ていて良かった。二つの調査のつなげ方も、主人公の鬱屈も、事件の結末も、タイトルもそんな感じ。救いがない。

肩凝りを殲滅する

(タイトルはリスを実装するのパロディです)(リスを実装するは読んだことありません)

 物心ついて以来ずっとというかこの世に生を受けて以来ずっとというか前前前世からずっと肩凝りに悩まされており、八千年過ぎた頃からPC作業や加齢も相まって危機的状況となって、ひどいときは眠るときに鎮痛剤を飲むようになっていたが(私はパナドールを信頼している)、これはまずいと肩凝りを殲滅することにし、多少の効果は得られているように思われるので、殲滅活動の内容をここに記録する。ところで自分の場合、そもそも肩凝りの原因はおそらく視力の問題と姿勢の問題が大きく、特に姿勢については肩凝りを改善するためにまずは姿勢を直せと世に広く言われているのは百も百合も承知なのだが、基本的にそれは無理なので、とうに諦めたので、姿勢は直らないものとして扱う。立っているものは倒れる、吊っているものは落下する、姿勢は直らない。ご安全に。肩凝りがひどいというとすぐ姿勢を直せとかいう正論ハラスメントをぶつけてくる心無い輩がいるが、やめてほしい。無理なものは無理。姿勢を直す心がけみたいなやつは三分しか続いた試しがないが以下についてはとりあえず一ヶ月以上続いているのでそういうことだと思って受け入れてほしい。

 まずは以下を購入した。

 この商品が特に優れているのかどうか知らないし3kgが適切なのかどうかも謎である。多分筋トレとしては軽すぎるのだろうが筋トレが目的じゃないから別に良いだろう。ともかく何かを購入したという事実が重要なのと、ピンク色でうるさいので部屋においてあると目につくため、これらの要素が継続を助ける。で、このダンベルで、以下をやる。

 この動画に特に優れている点や思い入れなどは無いが、日本人の筋肉ユーチューバーみたいなのの動画だと喋りがうるさいことが多いのでこれくらいのほうが良い。というか一回見たら内容はわかるから何度も視聴する必要はまったくない。回数が適切なのかわからないがとりあえず1日50回くらい上げ下げしている。

 次にいわゆる肩甲骨はがし的なものをやる。肩甲骨はがしというワードはバズりすぎており絶対に使いたくないが背に腹は代えられないというか肩に腹は代えられない。

 とりあえず以下を朝晩やっている。

肩こりによく効く体操【完全版】

 この画像の良いところは漫画にやたら眼がギョトギョトした気持ち悪い顔がついていないことである。いずれにせよ一回見たら内容はわかるから何回も見る必要はまったくない。

 また、この動画のやつも朝晩気が向いたときにやっている。

 この動画の良いところは笑顔です。しかし残念ながら一回見たら内容はわかるから何回も見る必要はまったくない。

 以上を一ヶ月くらいやったらとりあえず鎮痛剤は要らなくなり、大量購入したパナドールとタイレノールの在庫が余っている。今後は肩自体を取り外し将来的には肉体を廃棄する等の活動を目指していく。

『百壁ネロ完全体 黎明編』 百壁ネロ

 第二十六回文学フリマ東京にて入手。twitterで見かけてくっついていたサンプルで面白そうだと思ったので、という極めて軽い気持ちでブースを訪れたらなんか卒業式の会場みたいになってて、いただいた本もめちゃめちゃ分厚くて卒業文集かよと思って、家で開いたら一ページ目にいきなり校長先生のお言葉みたいなのが載ってて卒業文集かよと思った。結局この先生は誰なんだ……。

 計17作品収録というボリュームもあり今更読み終えて今更感想を書くわけですが、これがめちゃめちゃおもしろかったです。特に気に入ったのは「○ゴトジェノサイド×トリィムホラーショー」「ハッピーファッキン・ハチクロファッカー」「東京カタストロホテル九々九九式」の3本で、ちゃんと完結しているという意味では「ハッピーファッキン・ハチクロファッカー」が一番ですね。エモい。勢いがある。ざらめちゃんが可愛い。旅要素がある。以上全部好きですね。未完のやつに関しては、は、完全体なのになんで未完やねん面白いのに、と読んでる途中で思ってしまったけど最後の解説でなるほどねと思った。続きが読みてえ。やたら殺し屋が出てきたりあとキャラの名前の付け方とかに濃厚なこうあれを感じるんだけどそういうの含めて全集っていう形式、熱いなと思った。楽しかったです。完全体おめでとうございます。

『バレエ・メカニック』 津原泰水

 三章構成だが事実上三編の連作小説的な趣。SFか? SFか。一章が一番好きかなぁ、終わってみれば。二章でわかりやすくなりすぎた感じがする。ただ、二章の木根原の衰弱ぶりは良かったのと、あと徹底して理沙が不在なのが良いと思った。三章はあんま納得いってない。

『百年の孤独』 Gabriel Garc´ia M´arquez 鼓直訳

 やばすぎる小説。これが南米マジックリアリズムの爆発か。ホセ・アルカディオ・ブエンディアの息子がホセ・アルカディオでその息子がホセ・アルカディオだけどややこしいからアルカディオと呼ばれていますって、ややこしいと気づいているなら名前を変えろ。ブエンディア一家の無数の物語のミザナビーム。途中でノーパンノーブラファムファタールが空を飛ぶシーンもあるぞ。長くて読むのは大変、ずっと殴られ続けて疲れたけれど、終盤が本当に圧倒的だった。これだけ無数のパーツを連打しつつ最後にはまとめ上げてくるの本当にすごい。

『TOKYO YEAR ZERO』 David Peace 酒井武志訳

 やばすぎる小説。かなり長くて重いが、結構一気に読んでしまった。面白い。

 意識の流れ系だと解説に書いてあったけどそういうジャンルでしたっけ。まあ意識の流れであることには間違いないが。ひたすら挿入される意識、反復、変奏、狂気。一応トリック的な要素があったが、まあ途中からバレてるし、わりとそっちはどうでもいいと思う。警察小説とかノワール小説的な文脈で読もうとしたらなんか違うとなるのではないか。重要なのは東京の闇(この暗黒、暗澹感はすごい)と主人公・三波のこの意識、心理、狂気でしょう。お前痒いところ掻きすぎなんだよ。ガリガリ。自称通りの人間は誰もいない……。

 

『改変歴史SFアンソロジー パイロット版』 曽根卓・伴名練(カモガワSFシリーズKコレクション)

 第二十六回文学フリマ東京にて入手。超おもしろかった。パイロット版だそうですが完成版はマストバイなのではないでしょうか。

『緑茶が阿片である世界』 曽根卓

 タイトルで出落ち。緑茶が阿片であるという世界で、緑茶について解説した本の訳者あとがきという体で綴られるテキストは、前半は純粋に改変歴史読み物として次々繰り出される小ネタに笑いながら読み、後半の転調でまた笑える。首都のとこが地味に一番じわじわ来た。この読後感は高級茶はごくごく飲めるみたいなやつですよ(高級茶飲んだことなし)。

『シンギュラリティ・ソビエト』 伴名練

 なにこれめっちゃ面白い。アメリカの宇宙開発にソビエトが対抗せず、代わりに人工知能を開発、シンギュラリティに先に到達した世界の話。ソビエトの人工知能ヴォジャノーイと、それに遅れる形で西側諸国が創った人工知能リンカーンが、人類を置き去りにして戦いを続け、人間は駒以下の存在に。シンギュラリティとディストピアとサイバーパンクと共産趣味とかなんかそのへんのものが投入された最高に楽しい小説でした。党員現実とか案内役レーニンとかワードが一々面白いし、そういった面白いものがしっかり後で回収されていくのも気持ちがいい。ともかく読んで楽しかったです。