『アラスカ 風のような物語』 星野道夫

なんでこんなに印象的な文章が書けるんでしょう。時々、一つの文章のなかの最後の一文がものすごく魅力的で、ふわっと来たり、ぐっと来たり、がつんと来 たりします。ひねくれた見方をすれば、「なんかあざとくてあれな文だな」ってなってしまいそうなのですが、不思議となりません。それは多分、星野さんが実 際にアラスカを何年も歩いた重みのようなものがあるからなんじゃないかと想像します。写真からもそういうものがイメージできます。
あくまでイメージであって、実際の星野さんが感じてる事とか、あるいはもし僕が実際にアラスカに行ったとしたらそのときに感じる事とは、また全然違うのでしょうが。

癒されました。

『月の本』 林完次

サブタイトルが”perfect guide for the MOON”とあるように、「文学、天文学、社会学、人類学、美術など、さまざまな角度から月の謎や魅力を各分野の専門家が分担執筆した」本です。写真がき れいだったから手に取り、中もろくに見ずに図書館で借りてきたのですが、なかなか面白かったです。

#1 LUNER DESTINY -運命- (短編小説/林望)
あんまり好みじゃなかったです。写真はきれい。

#2 TALES OF THE MOON -月のはなし- (月の登場する神話、小説の一部、詩、歌詞)
神話はすごく面白かった。月が善い存在になっていたり、悪い存在になっていたり、あるいはどっちでもなかったり、地域によって差が大きくて面白かったです。
小説と詩と歌詞は、特に文化的考察とかを無しに集めた意味はよくわかりません。自己満足っぽくなってしまっていると思います。でも北原白秋の「白き月」は気に入りました。
写真はきれい。

#3 THE MYTH OF THE MOON -月の神話- (月交代説とか月空洞説とか月宇宙船説とか/小笠原邦彦)
ハッキリ言って最低です。これを神話的考察としてやるなら最高に興味深かったんですが(そういうオカルトっぽいやつは大好きですからね)、しかしこういう“科学の皮をかぶった”やつは大嫌いです。
あるある大辞典的科学というのは、一理系として非常に毛嫌いしています。魔法の力で健康になるのは結構。けどマイナスイオンで健康になるなんていうのは最悪です。この章は後者でした。
(けど、こういう印象を持たせるための章なのかもしれない、とも思います。嘘を嘘と(ryって言う事なのかもしれないですしね)

#4 THE APPROACH TO THE MOON -月の科学- (科学的に観た月、月面観測、着陸の歴史/林完次)
月の観測の歴史とか、月面図の発展の話は面白いですね。

#5 MYSTERIES OF THE MOON -月の神秘- (月とバイオリズムについてなど/竹内均)
こういう程度の書き方なら(内容が胡散臭くても)、好感を持てます。科学的証明はありませんよ、でも面白いでしょ、だからまあ適度に楽しんでください ね、っていう姿勢が読み取れていいです。最後の狼男になる方法の書き方で、あえてオカルトチックに雰囲気を変えてきたところも、まさにそんな感じでいいで す。
と思ったら東大の教授でNewtonの編集長さんでした。さすが。

#6 ICONOGRAPHY ON THE MOON -月の図像学- (月に関する図像を通して、月の捉え方の文化的変遷など/高山宏)
この章が一番面白いように思います。この章だけ拡大して一冊書いて欲しいくらい。

#7 EXPRESSIONS OF THE MOON -月のことば- (月に関する言葉、諺など)
これもちょっと自己満っぽい。あいかわらず写真がきれい。

『人形の家』 イプセン

新たな時代の女性の姿、ですか……。ノラの行動については、なんかあんまりピンと来ませんでした。ヘルメルにも問題はある、というか最低なやつだと思いますが(といっても歴史的に見て彼個人の責任は問えないのかもしれない)、でもノラもよくわかりませんでした。
けどそのよくわからなさ具合をわざとやってるかもしれないなぁとか、あとは女の人が読んだらノラに共感するのかもしれないなぁとか考えました。

しかし、戯曲としては画期的らしいですね。戯曲の歴史とか知らないのでよくわからないのですが。社会劇

とりあえずランクとクログスタットのポジションは重要な気がしました。