『政治のリアリティと社会心理―平成小泉政治のダイナミックス』 池田謙一

タイトルだとはっきり言って何の本か分からないとおもうので出版社の宣伝をコピペすると、

本シリーズの基礎をなすJESⅢパネル調査は,九波に及ぶそれで,21世紀初頭,小泉政権期をほぼカヴァーし,1976年JABISS調査から数えても30年の歴史と継続性を有し,また国際比較の標準(NESやCSES2)調査項目とも一致するよう工夫している。  本シリーズは,これらの普遍性・歴史性を踏まえたうえで,JESⅢのデータを用い,小泉政権の固有性を明確にする。
本書は更に視野を拡げ,投票行動の背景をなす社会関係資本,私生活志向,インターネット利用,メディアのパワーなどの政治参加・社会参加をめぐる長期的な諸条件をより理論的に展望し,日本人の価値観の変容と連続性を様々な手法を用いて検証する。日本を代表する研究者による類例のない政治学研究 第一弾。

というもの。小泉政権の間に行われた四回の選挙について、五年間有権者を追いかけてパネル調査するという、大規模な調査の結果から分析をしてまとめたもの。アメリカの大統領選などと比べるとデータが少なかった日本において、このJESⅢというのはわりと画期的だったらしい。科研費がいっぱいついてやっと大規模にやれるようになったとか。

そして中身がすごい。よく一冊の本でこれだけ論じるな、という感じ。「小泉効果」をリアリティやスキーマ、マスメディアの観点から分析し、さらにソーシャルネットワーク、私生活志向を論じ、インターネットやマスコミに論は至る。もちろん議論は全て実証的であることが重視されている(まあ、JESⅢの結果からなんだから当たり前だけど)。また、先行研究の流れを一通り紹介してくれているので結構とっつきやすい。
どの章もそれぞれ面白かったけれど、特に印象に残ったのは、スキーマ分析のところの将来の展望。分析の結果から、「小泉首相の後継者が政党アクターを上回るインパクトを持たない場合、選挙における自民党の後退、はたまた野党の側に魅力が乏しかった場合には、深刻な政治に対する無関心や不信などを引き起こす可能性が高い」ことを予想しているんだけど、なんか、当たってるよね。小泉フィーバーの時代のデータから分析して、この本を出したのが07年1月の安倍政権の中頃。残念ながらその後、この予想はあたってしまった感がある。
あとはマスコミの強力効果論について。この辺は関連研究も知りたい。

とはいえ別に政治学に興味がそうあるわけではなく、実際のところ一番気にして読んだのは調査分析の手法。統計については別途知識を得る必要があるだろう。
横書きの本は読むスピードがなんか遅い気がして、重かったけど、面白かった。

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