『[映]アムリタ』 野崎まど

 だいたいデビュー作というものは、とんがっていたりぶっ飛んでいたり勢いがあったりして、一方で既存の作家の影響を受けているだのパクリだの劣化だのとの誹りを免れない(誤用)というイメージを持っているんだけれども、おおむねそのイメージ通りに、粗くて突き抜けている。

 だいたい天才が出てくる小説というのは面白い。天才は主人公と読者を凌駕し翻弄する。破壊さえする。天才は一般の世に流通する倫理観に準拠しないので、いともたやすく周囲を破壊していく。あいつらはグサグサ刺していく。刺された方は何が起きたかわからない。涙を流すしかないのである。畏怖。最高である。私たちは天才に破壊されたい願望を誰しも持っている。たぶん。そういうのを刺激してくる物語は最高。

 そして天才は救われない。破壊という救済の供給元を救済することは原理的にありえない。救済されてしまったらそいつは天才じゃない。昨今は主人公の気合いで天才がコロッと救済されてしまったりするが、それは本来あってはならないのである。

 knowよりも書きたいことを書いている気がする。そりゃそうだデビュー作だ。デビュー作だからセックスも許す。