『ソラリス』 Stanisław Lem 沼野充義訳

 面白すぎる。最初はSFをメタ的に使いつつミステリっぽいことをするのかと思いそこでワクワクし、と思ったらロマンスに向かうのかと思ったらそんなこともなく、結局のところコンタクト問題をストイックに殴り続けていておうよく殴るなという感じ。しかしその、ミステリっぽいところやロマンスっぽいところなどの周辺要素が牽引力になって、読ませてくる。

 訳者解説によればレムが扱いたかった題材はまさにコンタクト問題であって、確かに問題を見出して提示しているそのさまは結局SFらしい小説だよなと思った。延々ソラリス学を語り続けるメタSFっぽいところを表に出しながらも、作品を通して続けられる問題提起のスタイルは本来のSFらしさだと思う。ところで2回の映画化はいずれもその主題から外れてしまい、レムからするとまったく気に入らなかったのだという話も解説で触れられていたが、映画化する側からしたら無理も無いというか、それはアレンジしないと映画としてエンターテイメントにはならんだろうと思う。見てないからどれくらい変えたのか知らないけれど。

 そんな映画化もされている作品だし名作に位置づけられるものなのだろうと思って、当然長らくavailableであったものだと思ったら、ポーランド語からの直訳が出たのはわりと最近だそうで、今年になってハヤカワ文庫に入ったと知って驚いた。