【感想】『新世界より』 貴志祐介

新世界より(上) (講談社文庫) | 貴志 祐介 |本 | 通販 | Amazon

 面白かった。一気読みでした。設定をむやみにばらまいて世界観を醸成しているように見えて、実際は殆どがちゃんと伏線なんだよなー。不安を煽る感じとか、気持ち悪さとか、あーやっぱり的な絶望感とか、非常にうまい。ディストピアと超能力まではあっても人工進化も乗せてくるのはあんまり読んだことなかった気がする。確かに人類が本気で超能力に目覚めだしたら能力者だけを集めた学園都市を作ってそこでハーレムラブコメをやっている場合ではないのだ。ファンタジーなのかSFなのかというとホラーなのかもしれない(上巻で展開されたような大人たちへの疑念が、下巻にいくと彼女も大人になって体制の打破にはつながらないあたり)。ホラーの中にPanasonicとTOSHIBAが笑いを与えてくれる。これだけひどいことになってるのにメイドインジャパン健在かよ。

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