『ペンギンの憂鬱』 Андрей Курков  沼野恭子訳

 現代におけるペンギン3大小説といえば、ペンギン・ハイウェイペンギンを蒸す機械、そしてこのペンギンの憂鬱ですが、ペンギンの憂鬱だけ読んだことがなかったので読みました。

 とてもよいペンギン文学です。売れない小説家の主人公はペンギンと暮らしている。新聞社に頼まれてまだ死んでいない人間の追悼記事を書く。先の見えなさ、不安、無力感、なるようにしかならない人生、暖炉の暖かさ、ペンギンの憂鬱。

 おすすめです。

『リライト』 法条遥

 買ったはいいが、その後で「後味が悪いクソ小説」みたいな感想を見てしまい、ならなんか読む気が起きんなとしばらく積んでいたが、読んでみたところ、たしかに後味が悪いクソ小説だったが面白かったので読んでよかった。まず表紙に書いといたほうが良いと思うけど(読み終わってから表紙を見ると可愛い)、前提教養として時をかける少女原作は一応読んだことありが推奨されると思う。

 間違いなく後味が悪いクソ小説なんだけど、パワーがあるので作品として成立していて楽しめた。「タイムリープものをやるとタイムパラドックス厨が湧いてくるから対策どうしよう……そうだ! タイムパラドックスで殴ればいい」というソリューションだった。タイムパラドックスをエモさで殴ることで乗り越えていくという、近年の社会が求める作品とは完全にかけ離れたレンガスタイルで、良かった。なんか続編があるらしいが、続編いらないんでしょという読後感。

1日に2回モスを食べに行く

1日に2回モスを食べに行く

 某企画に参加するための短編小説を書こうとしたところ、まず短編小説というか長編小説の抜粋にしかならなかった上、途中で某企画がのじゃロリ狐ババア縛りになった(なってない)ため、没になった原稿をリサイクルの上、掲載しました。のじゃロリ狐ババアは登場しないので、のじゃロリ狐ババア重視の読者の皆様方におかれましては、失望されませんよう予めおことわり申し上げます。のじゃロリ狐ババアが登場する小説に関しては、そのうち宣伝があるんじゃないかと思います。

 余談ですが、日本のモスでもポテト用のチリソースとケチャップをデフォルト無料配布してほしい。

『My Humanity』 長谷敏司

 あまり落ち着いて読めない感じの作品。そういう意味での技術的成功がなされていると思うけれども同じ理由によりもう一回読みたいかといったときにうーんとなってしまうのは仕方がないと思う。SFを使って人間をばらしていくのだから正しいSFなのだなと思った。好き嫌いが整理されていないので読んで快楽が来ないと好きな小説にならない。作風的には時間差で名作感が出て来るような予感もしつつ、読後の感覚としてはきびしい。

『君の名は。Another Side:Earthbound』 加納新太

 良い補完ノベライズ、といいつつ、瀧in三葉とテッシーの話はまあ、ノベライズだけれども(本編ではっきり言わなかったところが綺麗に補完される)、四葉と宮水父の話はもうこれ自体がすごくよく出来てるなー、と思った。宮水父の話めっちゃいいでしょ……。二葉さんの話に脆弱性センサーは働いていたが映画ではそのあたりはバッサリだったので、こういう場で実力のある人が書いているのは世界に感謝だった。普通にもう一回映画見たくなったので商売がうますぎる。