【感想】『紙の民』 Salvador Plascencia 藤井光訳

紙の民 | サルバドール プラセンシア, 藤井 光 |本 | 通販 | Amazon

 物語に対する戦争モノ。妻に去られたフェデリコ・デ・ラ・フェは、「何かが自分の人生を眺めて愉しんでいる」という圧迫感に苛まれ、やがてそれが『土星』であることに気づく。彼は土星との戦争、全知の語りに対する戦争、悲しみの商品化に対する戦争を開始する。一方、作者である土星もまた、決して無敵の存在ではない。彼もまた自分の元を去っていった女性について悩み、現実に復讐すべく物語に落ちていく。

 要は振られて駄々こねてるだけの話なんですが、全知の語りに対する戦争というテーマの強さと、挟み込まれる挿話たちの力がすさまじく、最後まで読ませる小説でした。ベビー・ノスタラダムスとリトル・メルセドが好き。

 ところで僕は「百年の孤独」未読です。読まなければなと思いました。

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