『bnkrR vol.13 AI』

 第二十五回文学フリマ東京にて入手。AIがテーマの短編集。

「向こうでAIがテーマの合同誌ありましたよ」と教えてもらい、美少女AI百合がどうとかこうとか言っていた立場としては読まねば、と思ったので。

「殺意の特異点」城島はむ

 芸能プロダクション社長殺人事件の容疑者はバーチャルAIアイドル。なんかバーチャルユーチューバーが流行ってホットな題材になってしまった感がありますね。こういうの僕も書きたかったけど、世の中に追いつかれたなぁという思いがあり。11月の文フリで出してるのタイミング天才的じゃないですか? ストーリーとして妥当な課題と舞台と解決だと思います。アマミヤリンみたいなキャラ好き。クライマックスもう少し盛り上がりが欲しいような。

「街は少年の言葉」松永肇一

 ハードSFっぽい? ジャンルを形容すべき言葉が分からない。「病狗」とか、言語の使い方で雰囲気を出すやつ、上手なので見習いたい。電脳世界の表現って小説が意外と頑張れるところではないかと思う。英国の施設に古いプログラミング言語をいくつも使う爺さんの下り好き。ギンダラ銀行が高度なギャグすぎる。

「星だけがきいていた」鳥井雪

 宇宙を旅する播種船 with AIの話。題材が拙作に若干被っているのでヒヤヒヤしましたがお話的には特に被っていなかったのでなるほどこういう使い方もあるかぁと思いました。間に短歌が挟まれていること、アクションが起こらず設定が語られている比率が大きいことからして、物語というよりは詩的な色合いが強いものと読めます。これは完全に好みの問題なんですが、展開が起きないと物足りなく感じるところが。

「怪談 kwAIdan」塚原業務

 連作超短編怪談集にしてメタ怪談。これ一番好き。現代的な怪談って意味分からないやつがあると思うんですが、これも意味の分からない怖さ。SF的、AI的な話題を散りばめてるんだけど、不気味さを呼び覚ます手法がなんだか昔の意味がわかると怖い怪談コピペみたいな感じ(結局よく意味がわからないやつ)で、本能に来る。で、メタ的に言うと、たしかに怪談ってAIが創作しやすそうかも、と考えさせられたりする。これは本当にすごいと思った。

「AIコールセンター」深川岳志

 これも好き。なにがAIなのか最早よくわからないが、短編娯楽小説かくあるべし的な笑い。こんなんずるいだろ。こういうのが入ってきて合同誌のバランスってとれますね。怪談のあとにこれって。

「チューリング×チューリング」星野トレン太

 それなんてエロゲ? 感情のアップダウンとかよく出来てるんだけど、どうにもプロローグ感が出てしまっているので、本編読みたいなと思った。このあと会いに行ったらやっぱり……みたいなひっくり返しを期待してしまう。