『宝石の翼 セリエルの空』 藤あさや

 第二十七回文学フリマ東京にて入手。同じSF列であらすじで気になっていたのと、拙作の感想をいただいたことがあったので。上記はKindle版。

 ”臍玉”を持つ選ばれた少年だけが操ることのできるエーテル機関を搭載した戦闘機で戦うファンタジー架空戦記モノ? 知識がないのですが航空戦とかの設定も結構深いみたいなのでそっち系の人も楽しめるんじゃないかと思います。がっつり長編(B6版二段組約160p)ですが非常に丁寧な作りで冗長さはなく、最後まで楽しく読むことができました。お話の型的には悲劇っぽいものの、重くなりすぎず、充実した読後感。

 面白いなと思ったのがSFっぽさが(特に序盤は)全面には押し出されていないところで、エーテル機関は奇跡や魔術の扱いであってその機序は云々されないというバランスの中で、しかし前半で挿話的に語られた決定論や未来予知や多世界解釈の話が後半で回収されてくるというのが良かったです。また、タイトルにもなっているセリエル音楽(というか十二音音階)がガジェット的にうまく活用されているのも良いなと思いました。関係ないけど最初メタルってテルミンで弾く曲がメタルなのかと勘違いしてすごいキャラだなと思ってしまって勝手に楽しくなってた。