クダンノフォークロア

 ジャンルがジャンルだけに、これはやらないとな……と思ってやり、感想も書かないとな……と思ったので書きます。「少女+百合+都市伝説」という触れ込みで、いやそれ、無理やり少女追加して3つにしたよね感がすごいのだが、そういうゲームです。百合系フォークロアADVだそうです。百合です。

 全体としては楽しめました。美術とボイスは文句無しで良い。これは実際本当に良いです。「少女+百合+都市伝説」が気になる人はやって損はないかなと思います。百合なんだよな。ただシナリオは不満な部分がいくつかあり、あんまりこういう感想文でネガティブなことを細かく書かないんだけど、楽しんだだけにいろいろ書きます。こっから先、核心には触れないけどネタバレのリスクあります。

 まず、この謳い文句でやるからにはもう少し都市伝説を掘り下げてほしかったなぁというのが第一にして最大(勝手に自分がハードルを上げすぎた感はあるんだけど……)。特に小兎に神秘学研究会部長というポジションを与えており、後半で彼女の秘密も明かされることを思えば、もっと都市伝説のうんちくを語ってほしいんだけどなと思ってしまった。神秘学研究会に入るようなマニア性、オタク感が表現されていないというか。クダンに含まれている要素をもっと詳しく分析するとかそういうのをしてほしかった。あと、都市伝説とフォークロアという用語を意図的に使い分けているみたいなことを言ってたけど、そのあたりの説明とかも欲しい。そこをさらっと流しておいて別のところで紗和子さんが普通にフォークロアって言ってたのはちょっとえーってなってしまった。一般にはあまり使われない単語をあえてフィーチャーしているのだからその定義はしっかりさせた方が良いと思うし、その内輪の定義の話を聞いてないはずの人が発声してはいけないと思う。次に、便宜上シナリオを4部構成と解釈するけど、第1部の「クダン」と第2部の「フォーチュンライン」は、ミステリとしてはそんなにという感じを受けてしまった。ちょっとアンフェア感あるし、犯人がわざわざそんな手の込んだこと事すんのかという納得感が無い(後半への布石として必要なんだろうけれども……)。このあと書く通り、第3部以降は話も面白く感じたんだけど、序盤の印象がもうちょっと良いほうがなぁと思う。最後に、これはライターの癖というか作風なんだろうけど(FLOWERS、やったことありません。やらないとな)、漢字変換が気になる。「為って」はまあ、許すとして、「佳い」はちょっと鬱陶しく感じた。気炎上げすぎだろとか微に入り細に入りすぎだろというのは作風なので別に良いです。嫌いじゃない。

 上に書いたとおり、第3部以降のシナリオは楽しめて、第3部「夜売百物語」は良かった。百物語やってるシーン好き。というか塔子さんの風呂の話ふつうに怪談として出来がよすぎると思った。意味のわからない怖さ、良い。トゥルーエンド第4部「クダン」は、ノーマルエンド2編を踏まえているからこそできる多重解決(?)的などんでん返しが心地よく、ゲームとしての構成を活かしたカタルシスがあり、非常に良かった。というかノーマルエンドはミステリ的には最後「は?」ってなるんだけど、あれは最後にあるはずのどんでん返しがない状態と解釈すると遡及的に許せる感じになったのかなと。トゥルーエンドの最後は百合的にどうなんだというのは審議が必要そうだけど(カップリング信仰に囚われるな!)、まあそれも良いんじゃないかと思いました。

 OP、曲もムービーもかっこよくて良いです。EDの歌はなんか違う感が……。

 キャラクターも良かったと思う。塔子さんのビジュアルとボイスの相性が非常に良く好き(石見舞菜香さん、『さよ朝』ですごいなと思ったけど、すごい)。末永くレンゲに小さいラーメンを作ってくれ。小兎は前述の通りもっとオタク感を出してほしかったけど、基本このギャップ萌えの権化みたいな感じ好き。朔夜との掛け合いもよし。百合なんだよな。あと、フォークロア語りの影絵の双子好き。あいつら最後どうなったん?

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