『こだわり/花の女』 雨下雫/小島宇良

 第二十八回文学フリマ東京にて入手。短編2編、両A面仕様。

『こだわり』は作者の雨下さんがあとがきで書いている通りファンタジー要素とかがないという意味ではこれまでの作品と毛色が違うような気もしつつ、個人的には流れている空気は似てるしそんなに突飛な感じは受けませんでした。上記宣伝ツイートでは「狂気」と言ってるけれど、実際そこまで狂気かというとそういう異常性は感じられず、蕎麦に関しては知らんけど一般的にこういう「こだわり」、誰しもなにかあるというか、共感できなくもないよねという絶妙なラインになっているのが読んでて楽しいのかなと思います。あと彼女の最後のツッコミも突いてほしいところを突いてくれる痛快さがあってよかった。

『花の女』は感情が高まると花びらを降らせてしまう女性を妻に迎えた男の話で、その感情で花がっていう設定自体はスーパーありがちというか、ツイッターとかに画像4枚とかで漫画ですみたいなやつにありそう(全く関係ないが、あの形式で設定だけみたいなやつあんまり好きではない)なんだけれども、でも時代背景であったり人物の掘り下げであったりがしっかり行われており設定負けしていないので良いなと思った。ソラと古賀の後半での出現の仕方が結構特色あると思っていて、古賀に関しては卯吉にとって不思議なつながりを感じる相手であり、同時にその死期も自然と受け入れているという心地よい距離感なんだと思うのに対し、ソラに関してはこの出方は怖いし、卯吉は普段何を考えているんだという感じがあるし、っていうかむしろ彼は千代以外の人間に全然興味ないんだろうなという想像なんかもしてしまい、それが妙に好感だったりする。短いシーンでいろいろ考えさせられてしまい、面白かった。