『惜しみない愛を、君に』 塔守

 第二十八回文学フリマ東京にて入手

 ミステリ恋愛小説。五話収録されているが実質的には中編2本がメインでほかは番外編という感じか。表題作の『惜しみない愛を、君に』はネタバレにならないようにすると何も言えない感じはあるが恋愛小説で、ミステリとしてはネタはまあわかりやすいんだけれど、伏線とか丁寧なのと、随所の小ネタが結構好きだったので楽しく読んだ。小ネタ重要だと思うんですよね……。あと単純に、こういうちょっとおかしい二人が最終的にうまく嵌り合う話が好きなんだ。その番外編の短編『代わりの、一日』はキャラを活かしててすごい好き(単に精神的動揺で発動してるじゃねえかと思ってじわじわきた)。キャラが良いです。もう一本のメイン作『さよならのキスの代わりに』は、錠前マニアの男女(つける方と破る方)という設定が既に強く、ミステリとしてはまあそうなるよなというちょっとダークっぽい解決なんだけど、随所の小ネタがやはりバランスよくて、こちらも楽しめた。素敵な挿絵が多く入っているのだが、章(節?)の切り替わりに立ち絵やバストアップがドーンと載ってくるので最初なれなくてちょっと笑ってしまった。そのうち慣れた。