奇祭SF合同誌『来たるべき因習』 11/22文フリ東京にて!

Strange Festival
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Speculative Fiction

奇祭が奇想と出会うとき、やがて積もり、いつか結び、かねて繰り返される因習が、未来からの手引きとなってわたしたちの延長線上に蠢きはじめる。虚構の語りに踊る創作群が祭り囃子を呼び寄せる、異色の奇祭SFアンソロジー

(追記)Kindle版出たぞ!!!


 というわけで11月22日に開催される第三十一回文学フリマ東京にて頒布される、ねじれ双角錐群の奇祭SFアンソロジー『来たるべき因習』に参加しています。スペースはカ-10、Webカタログはこちら!  各作品のあらすじ(宣伝文)もあるぞ!  11/8追記:公式サイトのページもできたぞ!!

 文フリ東京は、五月の開催が中止され、今回は一年ぶりの開催、感染症対策をしながら、ということで色々大変だろうし大変なのですが、でも文学と濃厚接触したいという方は是非会場にお越しください(COCOA入れるとか、マスク着用とか、対策への協力をよろしくお願いします!)。また、状況を考慮して通販への割り当てをいつもより多めにするらしいので、会場に来られない方もBOOTHをチェックだ(11/8追記:商品ページも開設!!!!)。

 奇祭SFってなんなんでしょうね。今回もまた訳のわからない、難しいお題だったと思います。これレギュレーション守れてるのか? みたいな作品が結構多い気もするが、奇妙であることは間違いないし、独創かつ奇想であることも保証します。あと表紙が良い。それからこれは買った人だけがわかるんですが裏表紙も良い。必ず買ってください。それでは以下、ネタバレ無し各作品コメントです。

01 「UMC 2273 テイスティングレポート」 cydonianbanana

およそ17年に一度開催される伝説のウイスキーコンペティションに参加した気鋭のウイスキーライターが記す、出色のボトル8本のテイスティングコメントとその謎めいた来歴――仮想現実に建てられた蒸留所、ナノマシン入りウイスキー、ブラックホール惑星に住むウイスキー愛好家たち。23世紀のウイスキーを巡る、架空のガイドブック!

 およそ17年に一度開催される伝説のウイスキーコンペティション (奇祭)に出展されたウイスキーに対するテイスティングノートの形を取った連作短編型SF小説。しかしそういう連作短編みたいなやつって大きな流れとかドラマがないから大体つまらないんだよなと思った人はこの作品を読んで認識を改めてください。ウイスキーが飲みたくなる小説。この作り、クリストファー・プリースト『夢幻諸島から』の感じと言えば伝わる人には伝わるでしょう。伝わった人も伝わらなかった人も読んでくれ。

02 「ハレの日の茉莉花」 笹帽子

富ヶ谷キャンパスの学生たちのハレの日である『富ヶ谷祭』は、今年から224日に1度の開催となり、常識外さを増していた。祭AIの荒唐無稽な指示に振り回され続ける富ヶ谷祭実行委員会に、最終日にして最悪の知らせが届く。闇霊に侵入されてしまったのだ――。異色の奇祭ソウルライク・フィクション。

 拙作。奇祭として、祭AIの指示によってめちゃくちゃになっている学園祭という舞台を設定しました。あと、DARK SOULS IIIがめっちゃ面白かったので小説に取り入れました(?)。正直ダークソウルやったことない人が読んだらどういう感想になるのかわかりません。ねじれ双角錐群メンバーからの主な感想は「思ったよりダークソウルだった」です。ダークソウルやったことある人もない人も読んでくれ。ない人はごめん。

03 「ハイパーライト」 小林貫

その日、地球生命は天使に邂逅した。「太陽を追うもの」(ハイパーライト)を名乗る天使は自らが帯びる播種の使命を告げ、人類に選択と決断を迫る。身体性という有限に縛られた人類が最後に送る日常、そして導き出す答えとは。

 コンタクトもののSF。直接的に奇祭を指す言葉や事象がバシッとでてくるわけではないんだけど、おそらく枠外の超越した存在が降りてくるっていう人類の大イベントに対して祭というフレームをあててるんじゃないだろうか。昔の2chはなんか一大イベントは全部「祭」だったじゃないですか。そういう感じです。さてその超越した存在に選択を求められた人類たちが最後にどうするかっていう一瞬一瞬を活写していくわけですが、なんというか狭義のSF的、ショートショート的なぎゅっとしたまとまり感が鋭くて良いです。ぎゅっとした人もしてない人も読んでくれ。

04 「追善供養のおんために」 murashit

今日は、というか、今日からしばらく、ぼくのおじさんの話をします。ぼくのおじさんがあるときから信じるようになった、その信仰の話をします。といっても、それはぜんぶぼくのうそです、けれどもやっぱり、それはぼくのおじさんの信仰の話なんです。

 この作品での祭は冠婚葬祭の祭なんですね。楽しく盛り上がるお祭りじゃなくて、祖霊崇拝とかそういう感じです。祭という単語の解釈が僕自身(学園祭にした)とは逆方向のひねり方だったのが新鮮だし、アンソロジーの楽しさでもある。で、それではそういう題材で何が書いてあるかというと、これは極めて新しくて古い、ブログ小説です。謎の新興宗教にハマってしまった叔父について、日々更新されていくブログ。インターネット言文一致というか、ブログみたいなこう、不特定というほど不特定でもないがまあ不特定多数、いや多数かどうかもわからんがやっぱりまあ多数、そういう存在に対して虚空に投げかけるように語る語り口ってあると思うんですが、それの小説です。この作品を通じて作者はブログを更新しろというメッセージを伝えたいのだと思います。ブログを更新している人もしていない人も読んでくれ。

05 「花青素」 鴻上怜

【帰省】[名](スル)郷里に帰ること。また、特異点に帰って拡散する世界を見舞うこと。帰郷。望郷。永劫回帰。homecomingの謂。「墓参りに―する」「姉たちの―」《季 夏》「なつかしや―の馬車に山の蝶/秋桜子」

 これもある意味前掲「追善供養のおんために」に近くて、帰省の話です。帰省して集まった姉たちの語り交わすお話にズームインしていくという作品なんだけれど、その射程距離がすごすぎる。「世界樹の寄生蟲の件」について始まった姉の語りが、どこまで潜っていくのか、そしてそんなに潜ったところから急に出てきたらひっくり返るぞ、という。SFだし、SFらしい論理を破壊していく手筋も効いている。あと姉SFです。濃密な奇祭にみんなで溺れよう。ところでタイトルなんて読むかわかりますか? わかる人もわからない人も読んでくれ。

06 「忘れられた文字」 石井僚一

本と呼ばれる空間で古くから行われている「文字合い」という風習を文字自身の語りとともに描いた旅の記録です。

 超短編作品。なんかこれは説明しようがないというかネタバレを避けると語れることが少ない。けどこの作品がアンソロジーの最後に配置されることでこの一冊が高みへと昇華されていることだけは間違いないです。読んでくれ。