先輩はなぜ私のジャージで跳べるのか?

 日常の謎三角関係百合小説(を目指している)、『吸血鬼はなぜ日常の謎を探し求めてしまうのか』の第3話を更新しました。過去回、霧島回です。偶然遭遇した男子の忘れ物を届けてあげようと思ったらその男子生徒がどこにも存在しなかったみたいな話です。

 長編書くぜって言ってプロットを練ってたけどどうも行き詰まったので息抜きがてらこっちを更新しました。かなりシェイプアップした感じの(??)短編になりましたが、まあその分このシリーズは全体的にさらっと読めると思うので、読んでいただければ幸いです。

#百合文芸3 を読む

 そういうことです。

  • フォロイーです。フォロワーじゃないです。一方的にフォローしてる人も含む。
  • 肉眼で探しているので漏れてたらすみません。漏れないように宣伝しまくってください。
  • 一人で複数作投稿している人については、一旦一作のみ。
  • 感想にネタバレを含む場合がある(ミステリ方面など、明らかに避けた方が良さそうな作品については避けてる)。
  • 今日明日で滑り込みで投稿する人もいるんですよね? 待ってますよ。

私はラブレターなんか書かない(yu__ss)

  • 恋愛小説。
  • うおー恋愛方向なのに二人が喋らないというか直接向き合わない、一方通行の手紙というフォーマット、良いですね。
  • 手紙というフォーマットの危うさみたいなものをプロットにしっかり活かし込んでいる。受け取った側は他人に見せてしまうことが可能である(だから送るのに勇気が要るはずだ)とか。書く側も読む側もこう、酔いがちとか。
  • 鳥のモチーフ、籠の鳥というか、飛んでいきたい的な感じなのかな。終盤のほのめかし方からするとそういう読み取り方をした。
  • 読み終わった直後、解決しないで終わってしまうのはもったいないとまず感じた。でもこの双方の正面向かい合えてなさというか、そういうのをテーマとしているのならこの終わり方が逆に断絶感あって良いのかなとも思い直した。

鏡のなかに魔女をみつけた(大藤凛)

  • ファンタジー。
  • 嵐という表現の仕方が良かった。
  • リコさんの迫り方や最後の達観ぶりみたいなのが良かった。酒(?)飲んでたりとか。
  • 重めの設定(リコさんの存在の仕方とか)個人的にすごく好きなやつ。ただちょっと急ぎ足で設定出してる感じがして、長編向きの構想かもしれないと思った。

祖母の遺言(七田次美)

  • ミステリ。
  • 話の内容としてはかなり複雑なんだけどそれでも構成がしっかりしている。フックがしっかり効いていて牽引力がある。読ませる。
  • 古風を意識しているところの文体や台詞が好き。
  • 心中と遺書の意図のトリックが良かった。
  • 良く出来ている分、叔母さんその動機でわざわざその複雑なことやるかなという引っかかりがちょっと気になった。

すずるい、肉を食む(彼岸堂)

  • 肉コメディ(?)。
  • なんか色々露骨なんだけど一点突破型で大変良い。
  • コロナ禍で苦しむ外食業界への福音。
  • 疾風迅雷とか風林火山とか言うとこ好き。
  • 経験者の兄がアドバイスしてくるとこ好き。
  • 外食業界っつーか特定チェーンだろうが。これスポンサーついてる?
  • 最後こういう形で処理するのは腕ですね。

その女の子は背が高いので誰にも気づかれない(ソルト佐藤)

  • ミステリ。
  • 小賢しいことにウィンクでめちゃめちゃ笑ってしまった。そして最後で泣いた(笑った)。
  • 強すぎる姉良いよね。
  • 絶対暗い話で終わらせないからという安心感があるのが良い。
  • 英題の通り一応スレンダーマンネタなんだけどスレンダーマンにたどり着くまでにたっぷり2話使うのが謎の面白さがあった(???)(0.5センチの怪獣既読者なので謎の面白さを感じたがこれ初読の人からしたら一体なんなんだってなりませんか???)

きみの愛だけがぼくのハートをこわす(黒岡衛星)

  • ジャンルわからない。日常?
  • 魔女谷ウィッチって名前面白すぎるだろ。
  • と思ってたら本名出てきたとこで今度こそ声出して笑ってしまった。ズル。
  • Vtuberであったりコロナ禍であったりチェーン店や流行のガジェットであったり自分はあんま知らないけど音楽であったりで日常感というかこの現実に近い感じを出してくる空気がうまいなと思った。

 とりあえず以上!

次:https://www.sasaboushi.net/blog/2021/02/01/1862/

『裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル』 宮澤伊織

 ずっと気にはなっていました。怪異とかネットロアとかを扱っていて百合らしいと。それ好きなやつじゃないかと。都市伝説を扱って百合を目指した小説を書いていたときに方向性が近いと言われたこともありました。それなのに今まで読まなかったのはなんとなくWeb上の宣伝の方向性が気に入らないという完全に私怨な食わず嫌いだったのですが、そういう食わず嫌いは良くない、ちゃんと読んでから判断すべき、という天使の人格がKindle版50%オフセールで殴られたので買って読みました。

 残念ながら微妙だなと感じました。これは題材が好きだからハードルが上がっている可能性が高いのですが、なんかネットロアとりあえず出しただけで生かし切れてない感(4話の裏世界の怪異たちへの解釈はちょっと面白かったのだが、その理屈だと海兵隊がきさらぎ駅に到着はしないだろとか思ってしまって、この作りの感じだとその辺を続刊で回収……とかもあんまり期待できないなぁと)、あとは小説として上手く感じないというか、多分これ、アニメで作画動画が良ければ楽しいと思うんですが、小説という媒体で読んだときにあんまり良さがないんじゃないかなぁと思いました。心情とか。あとはそれこそネットロアってテキストだしそのへんなぁ、とか。多分題材が好きだからハードルが上がってるだけだな……。アニメを見ようかと思います。→(追記)アニメもnot for meだった……

『アンソロジー 『破戒』 Breaking Knox』 たけぞう他

 第三十一回文学フリマ東京にて入手

 十人の執筆者でノックスの十戒を一つずつ破るアンソロジー。かなりキャッチーなアンソロジーテーマですし、多くの人に読んでもらえるテーマ設定であることは間違いない、企画の勝利です。ただ、基本的にはハードルが上がって難しいレギュレーションだと思います。だってノックスの十戒って破ったらアンフェアでつまらなくなるぞっていうルールなわけで、普通に破ったら単に面白くなくなります。ルールを破ってる部分を超える何か光るものがないといけないわけで、それってものすごいハードルだと思います。しかしそのハードルに立ち向かいアンソロジーとして完成させたのは素晴らしいと思いました。ちなみに小説同人誌で箱に入ってるのは初めて買いました……。すごい気合いだ。

 以下、個人的に面白かった(ルールを破ってる部分を超える光るものを感じた)五作について個別の感想です。ネタバレあります。

『探偵が遅すぎる』たけぞう

 違反しているのは「犯人は物語の当初に登場していなくてはならない」か。この違反を面白くするのは十の中で比較的難易度が高いと思いますが、しかしそのハンデを覆す面白さとしてホームズ役とワトソン役の入れ替わり叙述トリックをうまく使い(もちろん普通に引っかかりましたが、思い返せばこの叙述トリックで有名な作品を思い出したりした。偽ホームズ役のあからさまな変人感を出して、っていう)、推理をひっくり返し、ボドゲのガジェットも上手く使い、と、色々と良い感じにまとめていてすごい! タイトルも上手いし。ちゃんと本格をやってる人が書くやつですね(僕はちゃんと本格をやっていないので適当に言っています)。とても面白かったです。本書で一番良かった。そしてこの方がアンソロ主宰というのも、強い!

『オリオン』もうエリ

 なんか青春というか百合というか、そういう雰囲気が良かったです。違反しているのは「未発見の毒薬、難解な科学的説明を要する機械を犯行に用いてはならない」で、純粋にミステリとして読むと構成に無駄があるように感じられますが(別荘に行くまでが長いとか)、しかしその無駄パートで主人公の屈託を書き連ねていくことで上手く個性が出せていると思いました。

『最害』カリフォルニアデスロールの野良兎

 違反しているのは、読んだときは「探偵は、読者に提示していない手がかりによって解決してはならない」なのかと思ったのですが、あとがきによれば「サイドキック(ワトスン役)は自分の判断を全て読者に知らせなくてはならない」だそうです。ん、それって主人公がワトスン役っていうことなのか? それとも犯人がワトスン役なのでっていうことなのか? というあたりがレギュレーション的にモヤモヤしたものの、話自体はちゃんとミステリであり自分の好みで、面白かったです。

『白鼠』アルギル・ラッセ(阿木良介)

 いきなりSFっぽい設定。かと思えば始まる怒濤の、こう、それ系の設定語りとそれ系の会話。このドライヴ感が尖ってて好きですね。違反しているのは「犯行現場に秘密の抜け穴・通路が二つ以上あってはならない」ですが、それをメインに据えず、それとなくかつ堂々と破っているのが上手いなと思いました。最後ちょっとそこで終わるの!?感あるんだけど、それを押し切るメインガジェットと怒濤の冒頭だったので良かった。

『日暮海音の金欠』そうしろ/安藤壮史朗

 違反しているのは「探偵方法に超自然能力を用いてはならない」。これに違反しながら面白くしようと思うと、メタ的な話だったりアンチミステリ的な破調方向にいくわけですが、それでいて会話劇によって組み立てられた日常の謎が普通に面白く、最後にしっかりと能力のネタも回収して上手くまとめたのはやられたという爽快感がありました。『探偵が遅すぎる』で本書で一番良かったと書きましたが、この作品が自分としては本書で二番目に良く、また一番良かったのと二番目に良かったのがこれだけ違う方向性というのも、一冊のアンソロジーの楽しさが存分に感じられました。