島アンソロジーに参加しました

 犬と街灯さんが主催する、『島アンソロジー』に参加しました。参加作品は上記に載せている『替魂島』。罪人の魂を替えるという不思議な流刑島の話です。

『島アンソロジー』は、遥か大海原のどこかにあるといわれる「貝楼諸島」に関する物語、紀行文、伝承、詩歌、観光案内……などを募集する企画です。既に島が続々と集まりつつあり、最終的には結構な数になる予定のようですので、公式アカウントやハッシュタグ #貝楼諸島より をチェックしてみてください!

『雪蟷螂』 紅玉いづき

 多分オススメされて買って積んであったものを以下略。こういう普通というか王道の……いや久しく読まないから普通と断定して良いのかも自信ないけど、そういうファンタジー小説をたまに読むと脳に良いことが分かった。興奮するような盛り上がりとか、先が気になって読む手が止まらないとか、そういうタイプではなく、じんわりと染み入るように良い話だった。

 読んでから後書きで、話は独立しているものの『ミミズクと夜の王』から連なる三部作の三つ目だったことが発覚した。『ミミズクと夜の王』がどんな話だったか完全に忘れた上に二つ目のやつは読んでない。でも楽しめたので良かった。

『嘘と正典』 小川哲

 短篇集。『ゲームの王国』がめちゃめちゃ面白いらしいけどまだ積んでる。諸事情でこちらを先に読んだ。

 冒頭の『魔術師』はマジックの構造と繰り返される業みたいなものが上手くまとまっていて好きだった。姉SF。また、最後の表題作『嘘と正典』がとても面白かった。スリルとスペクタクルから、スケール大きく転じて落とす。良い。間の4作はオチが弱く感じて微妙だった。

『2010年代海外SF傑作選』 橋本輝幸 編

 2000年代~から続けて読むと、2010年は混沌の年代だった……というのはいまが2020年代初頭だからそういうバイアスが掛かって見えるというのが多分にあるんだろうけど、でもそう感じた。特に前半に2010年代感を強く感じる作品が並んでいた気がする。個々の作品は自分の好みには合わないものも結構あったけれど、2010年代のカオスを感じられる良いアンソロジーだった。

「火炎病」ピーター・トライアス

 スマホが当たり前になって、ARみたいなものが身近な質感を持つようになった2010年代の感覚。火炎病という題材とその正体は面白かったけど、これだけだとお話としてはプロローグだなと思って物足りなかった。

「乾坤と亜力」郝 景芳

 AIが学ぶ話。子供から。というのは2010年代感は別にないけど、巨大サービスがWeb経由で世界中に同時並行で何かを提供してるっていう想像力は2010年代的かもしれないなと思う(そういう映画もあったよなと思い出した)。

「ロボットとカラスがイーストセントルイスを救った話」アナリー・ニューイッツ

 これよかった。本書の初読作品だと一番好き。かわいい。「餌!」「死!」

 ロボットが自分の役目のためにがんばる話で、それは昔からあるけど、元の管理者がCDCの予算なくなってアマゾン・ヘルスに行くというのが2010年代的(適当)。そういうちょっと社会的な視点を盛り込みつつも、ロボットががんばってて、かわいいし、最後の画がすごく良い。

「内臓感覚」ピーター・ワッツ

 Google帝国の話で、不穏な描写(ガラスにぶつかってくるところとか)がすごく良かったけど、オチが腑に落ちなかった。

「プログラム可能物質の時代における飢餓の未来」サム・J・ミラー

 多分破滅の話なんだけど、よくわからなかった。

「OPEN」チャールズ・ユウ

 導入と設定は良かったけど結末が腑に落ちなかった。

「良い狩りを」ケン・リュウ

 これだけ既読の作品。幻想魔術スチームパンク。やっぱり好きだな。興味をそそる導入から中盤でターンがあって最後に期待通りの意外性がある。良い。

「果てしない別れ」陳 楸帆

 良かった。意識とか自己同一性とかの題材。軍人来るあたりとかのご都合感はちょっとうーんってなるんだけど、蠕虫との合一とかいうものすごくチャレンジングな話をしっかり書いてあって結末の味わいも素敵だった。

「“ “」チャイナ・ミエヴィル

 架空生物の話。ちょっと平凡に感じてしまった。

「ジャガンナート――世界の主」カリン・ティドベック

 ディストピア的なやつ。肉肉しい。ディストピア的なんだけどマザーの内部社会が(そもそも言うほど社会なのかわからないが)抑圧的なのかというと別にそういうわけでも……いや抑圧的かな。単純な擬人化的な仕掛けとか人類の分化的な構想とはちょっと違う、ひねった奇妙さがあって面白かった。

「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」テッド・チャン

 急に中編小説が来てびっくりした。良かった。AI生物の育成の話。色んな要素が盛り込まれているけれど、ソフトウェアやプラットフォームサービスの陳腐化と、人間の時間と、AI生物のディジエントの時間のズレ方みたいなところの難しさを一番感じた。セカンドライフの歴史を知ってるからVR Chatもまあ……みたいな、ものすごい雑だから有識者からは反論があるのかもしれないけど、なんかそういうテック諸行無常みたいな感覚を2010年代を通り過ぎた我々は持ってるよね。長い人生の時間軸をたっぷりつかって、ただ地面から足が離れてしまうほどの長時間じゃない射程で、丁寧に地続きの未来を描いているのが良い作品だった。

『圏外通信 2021』 反-重力連盟

 第三十二回文学フリマ東京の新刊。BOOTHにて入手。SF島の新規サークルの合同誌となるとどうせ文フリ行ってたら買ってたと考えればBOOTHでも即買いになる。デザインかっこいいですね。色コードも。

『灰の園』脊戸 融

 自律防衛宇宙戦闘機の話。挿絵も入っててオシャレだ。丁寧な設定を感じたので、この後どうなったのかが気になった。

『箱たちと彼』赤草 露瀬

 BOOTHのサンプル画像でも見て気になったので購入動機の一つになった。全身義体の箱たちが一般的になった、現代と地続きのちょっと暗い世の中の話。箱の家族のイメージのところが脚注含めめちゃくちゃ良かった。

『堕ちていく天国』庭 幸千

 少女だけで構成されている世界の話。『〔少女庭国〕』を連想したが作者の意図があるのかはわからなかった。異常な雰囲気を持っていたのでもう少し長く読みたかったなと思った。

『ボーンズ・オートマティック』巨大 健造

 骨の……何? 何の話だったのか説明できない。なんかすごい壮大で重厚なパワーを感じる。言葉の感覚がすごいやつ。ちょっと難しくて多分半分も読み取れていないんだけど怪作で、もう一度読んだ方がいいやつだ。

『交差点』xcloche

 暗闇で語られる話。本書で一番好きだった作品。おはなしのつくりが好き。挿話を結んで(交差点!)、暗闇に可能性を開いてる。それぞれの挿話自体も良い。特に二つ目。

『日本探偵小説全集リミックス』 ストレンジ・フィクションズ

 元ネタの探偵小説は基本的に全く分かっていないのですが、知らなくても楽しめるぞという情報があったので読みました。楽しめました。情報は信じた方がいい。

 評論とインタビュー部分のボリュームがすごいのですが、小説部分に関する感想です。直接的ではないがネタバレ要素がある。

 Kindleで読んだけど、BOOTHにてPDF版もある。

九鬼ひとみ「発狂する壁」

 不気味、あやしさ、不条理、ナンセンスな恐怖がすごく良くてすき。不安感の煽り方が上手すぎる……。

織戸久貴「リゾーム街の落とし子たち」

 なんか陣営が多くてワチャワチャ出てくるのが楽しい。未那すき。

 トリックに関して、作者FANBOXにて言及があったので感想を書くと、読んでいてアンフェアに感じなかったし(素人なので「フェア」の厳密な用法は知りません)、伏線の描写の案配はちょうど良くていい効果をあげていると思った。SF内でミステリ要素をやろうとするとアンフェア感が出まくる恐れがあるところうまくバランスとっていると思った。どちらかというと逃走ルートのわからなさが気になった。

犬飼ねこそぎ「雀魂殺人事件」

 まあ一発ネタなんですけど、でもこれアイデア良すぎるでしょ。もうタイトルと事件発生時点で勝ってる。あらすじ紹介文強すぎるし。大江山警部の下りで笑ってしまった。最後のブツ切りな終わり方もこの題材とは逆にマッチしていて良かった。

紙月真魚「その魔都の今は」

 ストーリーラインがえらい多く、なんか凄い闇鍋状態というかこれでもかと盛っていって、Vtuber(とは書いてない)まで出てきたの笑った。その混迷感が不思議とまとまる、というか実際には別にまとまってないんだがなんかそういう風に読まされてしまう、それが都市っぽいのだという読み方をした(作者の意図なのかは全く分からないけど)。

孔田多紀「『田端心中』の謎」

 これはさすがに元ネタへの理解があった方が良かったのかもしれないとちょっと思ったけれど、そう思わされるだけの元ネタへのリスペクトが感じられる作品で、それが作中人物の作中作へのリスペクト(字にするとなんのこっちゃ)に連なる重層感があって良かった。

千葉集「風博士 vs フェラーリ」

 #千葉集は「風博士 vs フェラーリ」を収録しろ ツイデモに参加します。