劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト

 以降ネタバレを含む。

 劇場版の感想について書く前にTV版について書くのですが、自分はTV版が放送されていたとき最初めちゃめちゃ興奮していた記憶があり、すごいアニメだと思っていて、すごいぞということも盛んに言っていたような気がします。少なくとも放送中は。しかし、当時最終的に自分がこのアニメをどう評価したのか、記憶が完全に消えてしまいました。最終話がどんな感じで話が終わったのか覚えてないし、それを自分が良いと思ったのか悪いと思ったのかも覚えていない。それくらい何も残っていない。何も残っていないという意味ではTV版は自分に対しては失敗作です。

 そんな状態なので、劇場版やるぞ、はじまったぞ、おもしろいぞ、みたいなのが流れてきてもとくに心引かれることなく、かつ昨今の社会状況などによりそもそも外出あんましないということもあって、見に行くチャンスなく今日まで至っていました。で今日、見に行くタイミングがあったので、一昨日と昨日で改めてTV版を見直しました。

 TV版を見直して、良い点は、演出が良い。演出に全振りしていてそのためであれば些末な展開の論理やリアリティラインを強引にねじ伏せることを厭わない。視聴者をツッコミに回らせ、そして圧倒する。完全に自分が好きなスタイルです。この点は見直してもやっぱり良かった。

 気に入らない点は、改めて見直して考えると2点に集約されます。

 1つ目。ラストの展開が結局どうなったのか/なぜそうなったのか分からない。いきなり身も蓋もないことを指摘するな。いや、実際わからないじゃないですか。わからなくて、で、これの何が気に入らないのだと自分の中で掘り下げていくと、やっぱり華恋が何者なのか全然分からんと言うところかと思う。主人公の気合いでなんとかなったという流れがダメだというわけではなくて、むしろ大体世の中のラストは主人公の気合いでなんとかなるのだが、しかし、その気合いの源泉とか、理由に対して一応の説明があって欲しいと思ってしまって、この場合だとなぜ華恋が最後勝てたか(勝てたの?知らんけど)に対して、約束だったからとか運命だからとかだけでは説得力ないでしょと思う。それ4話くらいでもう言ってたじゃんって思うんですね。3話で華恋が負けてこんなんじゃだめだと思って4話で過去編やりますよね、そっから華恋の話なんも進んでない。最近世界に羽ばたいたドラクエ3で言ったらカンダタ(1回目)をがんばって倒したそのステータスのままでなんかいきなりゾーマ倒してるみたいに思える。間になんかいるだろ! 必然と因果が繋がらないと物語にならないだろ!

 2つ目。そのラストにおいて、メイン二人以外いる意味がわからん。まひるとばななは、これはもう舞台造形側の肝いり(?)で華恋・ひかりに対して強烈に絡んでくる専用回が用意されているわけですけど、完全にその専用回で燃え尽きてて、その後マジで空気ですよ。ばななとか飛び道具なのにその後全然火噴かねえの。でもこの二人はまだましで、他の五人はなんのために出てきたのかもう全く分からんというか、メインへの絡みがない以上はサブプロットにもなれてないし、かといって群像劇でもないでしょこれと思う。双葉と香子の回、あれなんですか? あの話はこの物語に必要だったんですか? こういうカップルが好きな皆様二次創作してくださいねという素材提供・キャラ紹介にしか見えない。そういう大人の汚い視線を感じる。天堂真矢と西條クロディーヌの関係、いいですよね、でその二人のペアがオーディション最終回で華恋・ひかりの前に最強の壁として立ちはだかる、熱い展開ですね、で、なんかそれが華恋・ひかりの二人の話を深めたり加速させるのに役立ったか? 意味ないだろあれ。倒すのもなんかやたら簡単だったし。

 という、改めて見直すとボロクソ言いたくなる感じになってきてしまい(いや字数バランス的に気に入らん点をたくさん書いたけど、自分の中では良い点と半々くらいですよ)、上記2点を後付けにしないようツイッターに書き留めて劇場に向かいましたが、劇場版を確認したところ…………神アニメであることが判明してしまいました。

 劇場版、まずはやはり劇場クオリティで、TV版の良さがより先鋭化している。演出の良さの巨大お化け。ワイルドスクリーンバロック。もうこれだけでとりあえず楽しい。

 とはいえ、途中までは「まあ劇場クオリティがめちゃくちゃすごいが、劇場クオリティにしただけだな」とも思って見てました。一連のワイルドスクリーンバロックもTV版の焼き直し強化版。ばなながやっぱりトリックスター的に仕掛けた感じになっていたが仕掛けただけで終わっている。いや絵はめちゃくちゃ面白いけども。双葉と香子の喧嘩、要る? まひるこれ二次創作か?  真矢クロもすごいけど結局この二人前座でしょ感がどうやったって残る。ただ、TV版では掘り下げなかった華恋の過去が出てくるので、そこがどうなるかだよなとは思っていて、でラストの流れに入って、これもTV版の繰り返しなんかなと思ってたら、最後の台詞が来て、手首が高速回転ですね。

 最後の台詞良すぎるだろ。

 それですよ、そういうのが欲しかったんだよ。TV版の気に入らないポイント1の反転。正直そういうのが来ると思ってなかったからクリーンヒット決まって最高になってしまった。良い。

 さらにその後の舞台を解体する、演技を終える流れ。中のレイヤーで言うと、再会してからずっと舞台少女・愛城華恋は舞台の上にいて(そう自分は解釈した。あの自分ルールだと、教室で再会してしまった瞬間にバグるはず……という読みで良いんだよね? あんまり明確に言ってなかったけど……)、その舞台が終われずにどこにもいけなくなっている、それを終わらせるのがあの台詞だというのは大変良い。作中で華恋以外のみんなはどちらかというと次に行けていないということで悩んでるんだけど、華恋だけはそもそも終われていなかった、それをやっと終わらせた、という反転が鮮やか(と自分は読んだけどあってるのかな……)(なお既にインターネットに溢れているであろう何回も見てる人の考察記事とかを一切読まずにこの感想を書いている)。このあたり、自分が好きな、演じることや創ることに関するテーマが噛み合ってきたのも良かった。

 でそれを外から見たときには、それが少女☆歌劇 レヴュースタァライトという舞台の終わりだということで、TV版でもキリンは第四の壁を超えてたからそういう作品であることは元々そうだったんだけど、そこをさらに押し超えて来てて、自分がTV版気に入らねえポイント2で思ってた、こう、「二次創作してもらうために配置されてる感のあるキャラ」に対しても理由付けがなされてしまうみたいに感じられ、良くない笑顔になれて、なんか良い。舞台と観客が求めるからやらなくちゃみたいな一連のやつはちょっと露悪すぎてそんな好きじゃないのですが、でも強くて、これで素直にファンアートにいいね押せるねみたいな気持ちになる(最悪)

 以上、これだけ感想を書くことになってしまったので、少女☆歌劇 レヴュースタァライトはやっぱり失敗作ではなくて、神作品ということになります。ありがとうございました。