Kindle Direct Publishing (KDP)がペーパーバックに対応したので早速出版してみた(販売開始編)

 昨日、ダイレクトダイビング人柱としてKDPでのペーパーバック出版を実施しました。続きです。

 入稿後約15時間でレビューが完了し、既にペーパーバック版が販売されています。本記事では販売までの流れと商品ページを見てわかること、ここまでの使ってみての感想を書きます。

販売までの流れ

 流れというほどのこともなく、Amazon側でのレビュー(審査)については、体感としてはKindle版を出すときと何も変わっていません。72時間以内に完了するということになっていますが、今回は15時間で完了した、というのも過去にKindle版を出したときの体感と概ね一致しています。完全に想像でしかありませんが、ペーパーバック版のレビュー内容はKindle版と変わらないのでは、と思います(内容に明らかな著作権的な問題がないかとか)。印刷領域のはみ出しとかは前述の自動プレビューで確認できていますからね。

販売開始の通知

 以下が販売開始時に送られてきたメールです。

  • 購入可能にはなったけれども、リンク、商品説明、試し読みなどの各機能やページ上の記載は順次追いついてくるので、ちょっと待っとけということが書かれています。これはまあそういうものなので違和感はありません。ちなみに「出版関連のタイムライン」というのは、こちらのページへのリンクが貼ってありました。
  • コピーの注文、というところに、「著者用コピーの注文を印刷コストで行うことができます」と書いてあります。つまり私の本の場合であれば販売価格の734円(最低販売価格で設定した667円に消費税10%)ではなく、印刷コストの400円(もしくはそれに消費税10%?)で自分用に買えるということでしょう。良いじゃんと思ったのですが、リンク先を読むと、「日本のマーケットプレイス (amazon.co.jp) は現在選択できません」とのこと。日本在住者の場合は、自分の本を手に入れるのも、普通に購入することになるようです。
  • あとはKindle版と変わらない内容かと思います。著者セントラルへの登録は自分で行いました。画面の表示は後述します。

販売ページ

 実際の商品販売ページの、販売開始直後のキャプチャが以下です。

  • 商品説明、試し読み、在庫あり表示、はいずれも問題なく登録されているようです。カテゴリだけ未表示になっていました。これは待っていれば追いついてくるでしょう。
  • この画面を見て個人的に一番びっくりしたのは、☑prime 無料翌日配達 の表示です。調べると既存サービスのネクストパブリッシングでもそうだったので、既に使いこなしていた人にとっては驚くことではないのかもしれませんが、POD自体が初めての自分は、翌日配達ってすごすぎるだろと感動してしまいました。注文するまでまだ印刷始まってないんですよ? この本まだこの世に存在しないのに、それが明日届くって? これは流通モンスターの力ですよね……。実はまだ半分信じてません。今日注文しましたので、本当に明日届くのか疑いながら待ちます。
  • 中央に「すべての形式と版を表示」「ペーパーバック」の表示がありますが、おそらくKindle版と同じ本をペーパーバックで出すと、一般の本と同じように、同一の本に対してKindleと物理本を選ぶ選択肢のような表示になると思われます。Amazonのプラットフォームで販売ができて、Kindle版も物理も同じページで売れる、というのはマーケティング的には大きいと思います
  • 出版社は「Independently published」となっていました。Kindle版は好き勝手に名乗れるのですが、これは強制的に設定されたものになります。ISBNをAmazon経由取得したときに表示されたのと同じなので、ISBNを外部で取得して持ち込んだら独自の屋号を表示することもできるんでしょうか?
  • 試し読みにも対応していて、「表紙」「著作権」「最初のページ」「裏表紙」「ランダムページピック」がコンテンツとして入っていました。
    • 「著作権」だけはちょっと不思議です。今回単体の原稿にするにあたり、3分クッキング的に即席の前付けを入れたんですが、ちゃんとそこが「著作権」ページとして認識されてるんですよね。これはページ位置で見てるのか、なんなのか。
↑試し読み画面で目次を開いたところ
  • Amazonパワーとして特筆すべき点は、今回の出版によって、Amazon.co.jpだけでなく、USUKDEFRESITCAAU世界各国ストアでも販売が開始されています。欧州のストアは既に在庫あり表示になっていました。北米とオーストラリアは現時点ではまだ在庫なしですが、単純な時間差と思われます。
    • これはKindle版でも同じです。ですがKindle版だったら単にデータがダウンロードできるというだけの話、そこまで感動する要素はありません。ところがこれは、海外のユーザーがボタン押したら物理本がその人の家に届くわけで、日本に居ながらにして個人でそれができるって、すごいですよ。すごくないですか? 自分も海外に住んでいたことがありますが、そのときは日本の本を売っている本屋に行くと(一応あるんです日系の本屋が)意味不明な高値で本が売られていて発狂しそうになったものです。そのときは日本から持ち込んだKindle本に救われました(いつco.jpのアカウントBANされないかちょっと心配だったけど)。グローバルにPODできれば紙の本すらまあまあリーズナブルな価格で海外に届くんですよ! ロマンとしてすごく良いと思います。
  • 前述しましたが著者セントラルに本を登録したので、私のページに行くと以下のように紙の本とKindle本が並んでいる状態で表示されます。紙とKindleを横並びでマーケットプレイスに置ける思想ですね。これもいい。
↑著者セントラルで並んでいるところ。一番右が今回のペーパーバック。

ここまでの小括

  • KDPのペーパーバックは、PODとして技術的にすごいことがあるのかというと、多分そんな特別なことはありません(偉そうにいってますが自分はPOD使うのはじめてなので、いやいや違うよというところがあれば誰か教えてください)。プレビューと自動チェック機能は頑張ってると思ったけど、そこくらいか。
  • しかし、Amazonという巨大プラットフォームでの販売ができること、同一本をKindle本とPODペーパーバックの両エディションで販売できること、翌日配達対応など、Amazonの暴力的規模の経済に乗っかれるのはともかく大きいでしょう。小さいPOD事業者はかなり苦しいことになるのではないかと想像します。
  • 一方で、自分は同人活動としてやっているので、同人誌という意味でいうと、いわゆる普通の(PODではない)同人誌の印刷とはセグメントが違うかなと思っています。Amazonの今回の対応を紹介した記事では在庫リスク無し、なんて謳われていましたが、そもそも同人誌で別に在庫リスクって部屋のスペースくらいのもので(いやそれ深刻な問題だが)、金銭的な問題はそこまで大きくないですよね。それに色々紙選びとかこだわって、出来上がった本をイベント会場で頒布するのが楽しいわけでしょう。このKDPのペーパーバックはそこと直接食い合うものではないと思ってます。
  • と、いいつつ、今後どうなるかはわからないもののコロナ禍でイベントが中止になり、同人誌を3桁部自家通販してコンビニの店員に完全マークされた経験を思い返すと、やっぱり発送とかその辺を何も気にしなくていいPODは美味しいし、それがAmazonという販路でできるというのはめちゃめちゃ強いな……とも思ったりします。
  • コストですが、今回はお試し人柱なので自分に利益の出ない最低価格設定ですけれど、現実的にどうなるのかということを試しに試算してみます。今回の『冷たくて乾いた』を収録した合同誌『紙魚はまだ死なない』はB6版、本文210ページです。BOOTH通販時の価格は800円でした(これはBOOTH手数料引かれたあとで印刷費をちょうど良く回収するラインだと思ってください)。KDPの計算ツールに210ページで入れてみると、以下の通り、印刷コスト595円、最低希望小売価格は992円になります。まあ1000円(+消費税で1100円)で売って利益なしということですね。1100円で売れるならかなり優秀じゃないかと思いますけど、どうでしょう? これ判型関係なくページ数で決まるみたいなので、二段組みとかの同人誌ならもっと安く上がる。
↑1100円で売ったら、印刷費595円、ベゾス400円、俺5円、財務省100円。

 以上です。あとは実際に届いたものの紙や印刷の品質が気になるところですので、明日届いたら(本当に届くのか!?)写真含めレビューしたいと思います!

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