『幽霊屋敷小説集』 アーカイブ騎士団

 第三十三回文学フリマ東京にて入手。第三十一回文学フリマで出たパイロット版の完成版。

 幽霊屋敷という、なかなかなさそうなテーマを選んだアンソロジー。しかも文フリのSF島。独自性の強いテーマから、順当にweirdな話が多かった印象。面白かった。

『ねじれた家』高田敦史

 パイロット版でも異彩という感じでしたが、やはり奇妙で良い。説明がつかなさすぎるのが良い。一瞬時間SFに行きかけて、解ききれなくて終わる、このもやもや感!(良い意味で) 自分はパイロット版を読んでからこの完成版を読むまでの間に全然関係ない経緯でサザーン・リーチを読んだんだけど、この哲学者とか物理学者とか呼びはあれの系譜なのだろうか。

『マットの下』渡辺公暁

 海洋SFミステリ。どこが幽霊屋敷なんだよでも面白いと思って読み進めるといつの間にか幽霊屋敷になっている。密室消失トリックはいかにもミステリ感あるんだけど引っ張らず、SF、からの怪異要素、からのやっぱりSF、からの一気に未来で、ジャンル横断の振れ幅と広がりが楽しい短編。

『壁に立つ』森川真

「主人公がヤクザのシノギでアパート建て替えのための住民追い出しをすべく曜日交代制で夜に部屋にいって大音量で音楽を鳴らしまくる」っていう状況の導入設定が良すぎて面白い。癖のあるキャラクター、通ってるのか通ってないのか際どい理路、最後にこのちょっとだけふわっとした不思議感を残すのとか、後味の悪さ、いいなー。パイロット版に載ってた方の話も是非読みたい!

『ゲーミングハウスの怪』高田敦史

 怪談クオリティが高く、構成に合わせた怪異談の詰め込み、挿話の重ね方のテクニックにすばらしく安定感があって読んでいて嬉しい。欲を言えばゲーミング要素の重ねももっとやって欲しかった感じはある(ベイトは近いけど違う?)(でも途中でゲーム再度はじまるとことか集中力のところとかは伝統的な怪異要素の解釈の仕方がすごく良いと思った)。ゲームプロについて全然知らなかったので最初ゲーミングハウスという概念自体が創作なのかと思って、光るのかなと思って読んでた。別にそういうわけじゃなかった。

『幽霊屋敷の救出』渡辺公暁

 ここまで怪異の場であり舞台であった幽霊屋敷が最後に急にかわいい存在になる。これが最後に配置してあるの良いですね。