『異界觀相』 造鳩會

 第三十三回文学フリマ東京にて入手BOOTH通販もあるTwitterのこのリプライツリーに各作品の冒頭サンプルと紹介文がある。

 表紙や組版のデザインかっこいいですね。参加されている方のことは特に知りませんでしたがかっこよかったので購入して読みました。面白かった。おすすめです。小説の他にも詩や論考や日記(こわかった)も収録されています。小説について個別に感想を書きます。

『子午線の結び目』伊東黒雲

 いきなり強い! どういう話だったのかの説明が難しい。目玉が……いや、説明できねえ。理屈はあまり通っていない小説だけれど、イメージが強烈だった。

『白瀬矗の講演』柊正午

 白瀬矗の講演の体を取っているという導入がめちゃくちゃ興味を引かれた。白瀬矗の自伝は読んだことがあって、結構前なのであんまり覚えてないんだけど、でもなんか雰囲気がそれっぽくて引き込まれる。講演で借金返してたというエピソードもあったし。しかしおそらくメイン創作部分であろう隕石(?)が結局どうなったのかわからなかったのはちょっともやもや。

『ときめく夢だけ捨てました』灰谷魚

 漫画家志望の後輩と事故物件でルームシェアを始める話。本書収録作のなかで一番好き。めちゃくちゃ面白かった。ギャグ多めな序盤げらげら笑いながら読み(ゴミだめのところ一番好き)、ホラー要素を予感はさせつつも青春な中盤どんどん引き込まれていって(Twitterまわりのリアル感すごい。あとはやはり創作の苦しさみたいな話題が好きなので)、悪霊の下りから終盤、そうきたか、そう嵌まるのかと得心しながら読んで、最後の最後に綺麗に一発食らわされた。そのひっくり返し方はズルいじゃん! 東京オリンピックとかコロナとかコンテンポラリーな感じの描写も良い味だよなと思っていたらこう活用してくるのは本当にやられた。すごく良い小説でした。

『托卵』藤井佯

 突然現れる謎の女、自宅の町名が実は存在しない、無人の隣部屋、と導入・設定のテイストが完全に好みだし、サイゼリヤのシーンあたりからリアリティの揺らぎや特殊組版を活用した中盤の演出がかなり好きだった。終盤というか結び方は自分の好みとはちょっと方向性が違った。でもクオリティ高いと思ったし、テイスト的にも枚数的にもこの本を代表する一作としてバチッときまってるなと思った。