『雨の島』呉明益 及川茜 訳

 自然とオブセッションの話だと思った。自然、特に動物の描写、それに対する人間の思いに迫力があり、読み応えがあって味わい深い。もう一つ共通点的に出てくる、クラウドストレージの中身を親しい人に開示してしまうウイルスの設定は、なんか位置づけが中途半端に感じてよく分からなかった。全部面白かったけれど、「闇夜、黒い大地と黒い山」(ミミズ)、「雲は高度二千メートルに」(ウンピョウ)、「サシバ、ベンガル虎および七人の少年少女」(鷹と虎)の三作が特に良かった。