『百年文通』 伴名練

 上手い……。

 結末に関するネタバレを含む感想です。まだ読んでいないなら今すぐ読んでください。

 コロナ禍を題材にした小説はプロもアマチュアもたくさん書いていますが、あまり個人的には食指が動かないしたまに読んだ時でもそんなに(コロナ禍を題材にしたことが)良かったという記憶がなかった気がしています。しかしこの作品は、良かった。考証や設定のしっかりした安心感の上に、読みやすくスピーディーな展開、連載の形式での展開の引きの作りの上手さ、史実と現代とセンスオブワンダーの絶妙なバランス(スマホとか、Youtubeとか、使い方が上手すぎる)、全部良すぎるなぁと思って読み進めてしまいました。良すぎたが故に欲をいえば結末もう少し膨らませられたのではとか、妹の話ももう少し掘り下げがあったのではないかとか、長編フォーマットでの読みたさまでしっかり感じられるところでした。何より一番良かったと思うのは、その結末の希望と誠実さ。現代側の世界をあの時点で真に書き換えられているわけではない、そんな都合良く展開しているわけではない、でもパンデミックを単なる災禍として使っているのではなくて、二人が前を向いて立ち上がるところで終わる。ここまで正面切ってこの題材で書き切るの、本当にすごいと思う。読めて良かったです。