新装版が出る野崎まどメディアワークス文庫6作を今すぐ読んでくれ【後編・ネタバレあり】

※本来の表記は「野﨑まど」(﨑のつくりの上は立)ですが、本記事では「野崎まど」と略記させていただきます

 この度「メディアワークス文庫創刊10周年&野崎まどデビュー10周年 特別企画」により新装版が刊行されることとなった、野崎まどのメディアワークス文庫における以下の6作品を改めて紹介するレビュー記事です。前編はこちら。

  1. [映]アムリタ
  2. 舞面真面とお面の女
  3. 死なない生徒殺人事件 ~識別組子とさまよえる不死~
  4. 小説家の作り方
  5. パーフェクトフレンド

※今回の後編はネタバレありです。もう読んだ人向けに勝手に感想を語る会です。 本編未読の方は読み進めないでください! ネタバレ無しの前編はこちら

※本当の本当に、このシリーズはネタバレで鑑賞体験が損なわれる恐れがあります。頼むから未読の人は今すぐPCまたはスマホを破壊してください!!

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Night in the Woods

 一応アドベンチャーというジャンルになるんだろうけどまあなんかこう、あまりゲームっぽくはない感じの。でもミニゲームは大量にある。猫は猫なんだけどリスはリスみたいな、リアリティラインがわからねえみたいなふわふわした感じに(メイの帽子かぶって仮装してるやつめっちゃかわいくない?)、アメリカの田舎の圧が襲いかかってくる。決して気持ちのいいゲームではなくて、それはストーリーラインにしてもそうだし挿話にしてもそうだし操作感にしてもそうで、しかももっとサクッと終わるゲームなのかと思ったら意外と長いし、でもプレイしてしまう、こう「めっちゃ面白いな」とは思ってないんだけど最後まで読んでしまう長編小説のような。最後別に、そういうのを出さなくても良かったんじゃないのとちょっと思うところはあり、出した割に色々回収されてないだろというのもある。というか正直終盤よくわからんかった。絵がきれい (メイの帽子かぶって仮装してるやつめっちゃかわいくない?) 。音楽も良い。音楽のパートが増えてくとこは楽しくて好き。

『あの娘にキスと白百合を』 缶乃

 百合漫画。どういう話かよく知らないけどなんか有名だから教養を摂取するかと思って買って読んだ。オムニバス・群像劇形式的なところがあるのを知らなかったのでいやオムニバスとかいらねえよ白黒だけ見せろよと最初の方は思ってたけど、後半は割と白黒を中心議題にして展開してくれたから楽しめた。なんかオムニバス的な方面に行くと、お手軽属性消費的な感じがあまり馴染まないんだよね(Twitterで流れてくる「~~の創作百合漫画」とかいって4Pくらいのやつ、ああいうの好きじゃなくて、そういう方向性というか)。でも改めて最後まで行くとこの10巻に及ぶ構成でしっかりしているというかちゃんと芯が通ってるのはすごいなと思った。1→10の表紙が良すぎるでしょ。 尖ってた子が普通の女の子にされてしまうのありがちだけどいいよね。女の子しか出なくて、ファンタジーとしての百合に徹しているのも良い。

新装版が出る野崎まどメディアワークス文庫6作を今すぐ読んでくれ【前編・ネタバレなし】

※本来の表記は「野﨑まど」(﨑のつくりの上は立)ですが、本記事では「野崎まど」と略記させていただきます

この記事について

【要約】すごい力を持った女の子に蹂躙されたい

 この度「メディアワークス文庫創刊10周年&野崎まどデビュー10周年 特別企画」により新装版が刊行されることとなった、野崎まどのメディアワークス文庫における以下の6作品を改めて紹介するレビュー記事です。今回の前編はネタバレなしの布教用です。そのうち後編で改めてネタバレありで感想と考察を書き直そうと思います。

  1. [映]アムリタ
  2. 舞面真面とお面の女
  3. 死なない生徒殺人事件 ~識別組子とさまよえる不死~
  4. 小説家の作り方
  5. パーフェクトフレンド

【旧版】

【新装版】

 

どんな小説なのか?

 上記のメディアワークス文庫の記事では「野崎まど異彩ミステリ6作」と表現されており、一応ミステリという枠に……いや収まらないと思います。ミステリの定義を「謎を解く話」くらいに拡大すれば、収まります。その程度です。

 自分なりにこの6作の特徴を挙げながら魅力を紹介したいと思います。

超越的な存在が登場する

 たとえば「[映]アムリタ」のあらすじは以下の通り。

自主制作映画に参加することになった芸大生の二見遭一。その映画は天才と噂される最原最早の監督作品だった。彼女のコンテは二見を魅了し、恐るべきことに二日以上もの間読み続けさせてしまうほどであった。二見はその後、自分が死んだ最原の恋人の代役であることを知るものの、彼女が撮る映画、そして彼女自身への興味が先立ち、次第に撮影へとのめりこんでいく。
しかし、映画が完成したとき、最原は謎の失踪を遂げる。ある医大生から最原の作る映像の秘密を知らされた二見は、彼女の本当の目的を推理し、それに挑もうとするが――。

[映]アムリタ – メディアワークス文庫公式サイトより

 これは、「映画でどんなことでもできる」天才美少女と一緒に映画を作る話です。この天才監督、最原最早が最強ヒロインなわけです。「二日間以上もの間読み続けさせてしまう」とか書いてありますが、比喩的な話ではなくて実際に二日間以上連続でであり、そういう非現実的な力が出てきてしまう作風です。
 同様に、他の作品にもヤバい奴が必ず登場します。「舞面真面とお面の女」は、何の動物かわからないお面を身につけた謎の中学生と戯れる話です。「死なない生徒殺人事件 ~識別組子とさまよえる不死~」は、永遠の命を持つ生徒が登場し、しかしそれが殺されてしまう話です。「小説家の作り方」は、”この世で一番面白い小説”を思いついてしまったと主張する絶世の美女に小説の書き方を教える作家の話です。「パーフェクトフレンド」は天才早熟小学生が友達の作り方を研究し、それを解明するに至る話です。「2」は、すべての創作の極致を目指す話です。
 一連の作品はすべて現実世界の現代日本(というか、基本的に井の頭線沿線エリア)を舞台にしていますが、上記の通りぶっ飛んだ登場人物が必ず出てきてしまい、主人公や読者はそれに翻弄されることになります。そういうローファンタジー的な想像力が好きな人にはおすすめできます。僕は好きです。
 そして、上記で並べた一連の「超越的な存在」は、お察しの通り、大体は美少女です。めっちゃすごい力をもったかわいい女の子に蹂躙されたいと思いませんか? 僕は思います。あなたも思うなら今すぐ6冊とも買ってください。新装版とか待ってる場合じゃないから買え。この先の記事は別に読まなくていいです。

謎解き要素あり(ミスリード、どんでん返し付き)

 この要素をしてメディアワークスは苦肉の策で「異彩ミステリ」と表現したのだと思いますが、基本的に謎や不思議があり、最終的にはそれに答えが出されます。しかし、そのトリックは必ずしもフェアなものではなく、ミスリードやどんでん返しの驚きを楽しむエンターテイメントです。特にどんでん返し部分に野崎まどの特徴があり、6作全てにおいて(いやそれどころかこのシリーズ以外の作品においても)オチに関してはほぼ同一の構造、型、様式美が取られていると思います。それが癖になってしまう。凄まじいオチを叩きつけられて笑ってしまうのが好きなタイプの人にはおすすめできます。僕は好きです。
 余談ですが、野崎まどが脚本を担当したTVアニメ「正解するカド」ではまさにこのラストの無茶苦茶などんでん返し(?)が炸裂してしまい、野崎まど未経験の視聴者を呆然とさせてしまったようでした。真面目にファーストコンタクトを考察する社会派アニメっぽい宣伝をして擬態したのが裏目に出たというか狙い通りなんだと思います。オチでやりたいことがすべてなので、そこに至るまでの細かいところが現実に即してないとかで気になってしまう人には向かないかもしれない。

会話文を多用し読書の負荷を極限まで引き下げている

 これは合わない人もいるでしょうが、ラノベ的というか、ノベルゲー的というか、地の文は非常に簡素で短く、会話文のテンポの良さに全振りされており、読みやすさ重視の演出がなされています。
 そもそも野崎まどのデビュー作である「[映]アムリタ 」は第一回メディアワークス文庫賞の受賞作にして創刊ラインナップの一冊です。メディアワークス文庫は「近年の小説作品のジャンルの広がりを受け、現在刊行されているノベルレーベル「電撃文庫」に収まりきらない作品を世に送り出すべく創刊される新たな文庫レーベル」という位置づけで作られたそうですので、まあざっくり電撃文庫で大きくなったオタク向けというか、「表紙がラノベっぽいが本文に挿絵はないあのジャンル」だと思ってもらえば良いでしょう。
 タフな読書をしたい方には向きませんが、別にそういう硬派な思想を持ってない方にはおすすめです。僕は持ってません。

天丼、言葉遊び、ボケツッコミで畳み掛けるギャグ

 会話文多用と近い話ですが、だいたい軽妙な小ネタがずんずんでてきます。なんか題材がシリアスなときでもギャグが入ってて笑うし、ボケとツッコミに漫才的な感覚があります。天丼も多くて好きです。繰り返されるだけで笑ってしまう脳の方にはおすすめです。僕はそういう脳です。
 ちなみに野崎まどがギャグ短編だけを書き連ねた「独創短編シリーズ 野崎まど劇場」という作品もあり、こちらも面白いです。「家から持ってきた角」の画像がtwitterで流行ったりしましたね。さすがにメディアワークス文庫6作品では画像ネタは封印されていますが、ノリはそのレベルです。

 

6冊でシリーズ? どれから読めばいいの?

 シリーズかと言うとそうではないのですが、刊行順に読むことを強く推奨します
 もう少し細かいことを言うと、「[映]アムリタ」「舞面真面とお面の女」「死なない生徒殺人事件 ~識別組子とさまよえる不死~」「小説家の作り方」までは完全に独立した作品で、相互に関係は一切ないため、実質どれから読んでも問題ありません。しかし、「パーフェクトフレンド」で助走をつけて、「2」ではそれまでの作品のキャラクターが再登場するので、絶対に「2」を先に読んではいけません
 このことは「2」の公式の作品紹介にはイマイチ明記されていません。ネタバレを避けるためにそのようにしているのだろうとは思うのですが、ネタバレよりも知らずに「2」を先に読んでしまうことのほうが悲劇だと思うので、あえてここに書きます。刊行順に読んでください。それにより初めて、野崎まどが「2」で目指した創作の到達点を味わうことができるはずです。それにしても「2」なんて題名がよく許されたな。

後編

ネタバレありの後編はこちら

『王様と林檎』 戸田鳥

 幻想短編集。掌編五編なのでかなり短め。明るくも暗くもない不思議な雰囲気が通底しているのが魅力的だと思う。同じ設定の『尻尾』と『おとだま』の流れがすき。猫が結局いついてるのが良いですね。

『小説 天気の子』 新海誠

 小説版。小説と映画の媒体の話があとがきに書いてあるのは面白かった。それ以前に序章が映画と変えてあるところでめちゃめちゃオタク笑顔になってしまった。とはいえ終盤の勢いはやはり映像でないとでてこない感じがあり、この内容だと映画がいいよねとなる。

天気の子

※ネタバレあり感想

 令和最高の映画。2019年、令和元年のこの時代に、『君の名は。』大ヒットにより国民的アニメ監督の地位を獲得した新海誠が制作した作品としておよそありえない突き抜けた作品。まず銃が雑なのが最高。親の話と家出の話が雑なのが最高。空とつながったで説明が完了するのが雑なのが最高(『君の名は。』で宮水二葉の設定が最高すぎるみたいなことを言ったくせにそんなことを言うのか? 言うんだよ)。そしてこのトゥルーエンドである。ノーマルエンドでは雨が止んで平和が戻ってたという文脈が一切描写されてないのにノーマルエンドプレイ後にトゥルーエンドに進んだ感覚があるの一体何者なんだ? マルチエンディングはゲームだからできる演出ではなかったのか??? トゥルーエンドはトゥルーエンドなんで、もう色々大丈夫なんです感が強い。凪くんが良すぎる。そういうの好きなんだよ。基本的に大人たちに悪いやつがいないというのも、なんというか良くて、いや悪いやつ出す必要ないしねというのが強い。都合が良すぎる。年下の年上すき。こんなものを国民的アニメ監督が作っていいのか? いいぞ!!!

『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』 城平京

 短編集。本編(?)の既読を前提としている(と思われる)スピンオフ。

 相変わらず虚構推理をする話が、幾分スケール小さめで5編。岩永琴子の本来業務である怪異のお悩み解決が中心。付喪神とかがチートで笑う。鰻屋のやつみたいな変則的なのも楽しい。

deltarune chapter 1

 神ゲーじゃないか……。

 Undertaleの続編的(続編的であって、続編ではない)ゲームの、チャプター1です。Undertaleをやったらやるべき。めちゃくちゃ楽しくなれるぞ。UndertaleをやっていないならまずUndertaleをやれ。

 公式サイトにネタバレではないトレーラーがあって、全くネタバレではなくて面白いから神で、本当にネタバレではないから安心と思いきや、動画をYoutubeで開くと右側や視聴後の関連動画のサムネイルでネタバレを食らうリスクがあるという恐怖のインターネットがあるから、絶対に何も見るな。

新生銀行の外為被仕向送金事務手数料有料化でKindle Direct Publishingは死亡するのか

結論:死亡しない。

 

 新生銀行の外為被仕向送金事務手数料は従来無料であり、神のような銀行機関だったのだが、2019年12月に有料化されることが発表された。

 そもそも私が新生銀行の口座を作った目的の半分は、2015年にAmazonのKindle本を個人が配信できるサービスであるKDPを使った際に、ロイヤリティ受け取りの口座として指定するためであった。AmazonはKDPのロイヤリティを毎月口座に振り込んでくれるが、振込が海外送金で行われるため、多くの銀行口座では手数料が数千円かかってしまい、ロイヤリティがなくなる、というか普通数千円もロイヤリティないから、マイナスになってしまう。それを回避できるリフティングチャージ無料の銀行として新生銀行を使いましょう、というのが日本のKDP界では常識であった(たぶん)。当時のメモにもそう記録していた。もう半分は某国の口座の資金を日本に引き上げたかったからで、それは別に手数料かかってもそんなに気にならないワンショットのものだったが、まあかかるよりかからないほうが良い。

 さて、その新生銀行で外為被仕向送金事務手数料が有料化されてしまうと、もしKDPのロイヤリティにその手数料(日本円の場合2,000円)がかかった場合、月に数十円とかちまちま振り込まれていたKDPのロイヤリティは、振り込まれれば振り込まれるほど口座から2,000円ずつ抜かれていくマイナスの爆弾になってしまう。新生銀行終わったなと思った。

 そう思って調べてみたら終わっていなかった。KDPのロイヤリティの振込は、2016年頃既に、日本国内の口座からの振込に切り替わっていたようである。公式ヘルプなどに記載はなく、確実なソースが見つけられなかったものの、例えば以下の記事の方はAmazon公式に問い合わせてドイツ銀行の東京支店からの振込であるという回答を得ているようだ。

Amazonからのロイヤリティ受取口座は新生銀行以外でもOK!

 あとは、自分の新生銀行の入出金明細からその事実を読み取れないかと思ったのだが、どうも読み方がわからなかったし2015年の明細はもう見られなくなっていたので比較もできず、わからなかった。

 新生銀行の手数料の改定はクソ改悪であることは間違いないけれど、KDPには影響ない。こういう情報は最初に始めるときはいろいろ調べるんだけど、その後は放置で調べないので、2016年に変わったという結構古い情報を今更になって確認することになったりする。人生とはそういうものなのでここにメモしておきます。

 

 ということで安心して読んでください。