群れSF『無花果の断面』Kindle版配信中

 配信されています。

 ちなみに、まだ物理本の在庫もあり、明日の文学フリマ東京で入手できます。Kindle版で読んでも良いし、紙の本で読んでも良いし、両方入手しても良い。

 収録作品に関する私のコメントはここ:ねじれ双角錐群『無花果の断面』 11/23文学フリマ東京にて!

 いただいた感想へのリンクはここ:群れSF『無花果の断面』が通販で買えるよ

群れSF『無花果の断面』が通販で買えるよ

 買えるんですよ。

 ここのBOOTHで買えるんです。

 既に文フリや通販で手に入れた方からの感想をいただいており大変嬉しい限りです。いつものように自分用にいただいた感想を貼っておく記事が欲しかったのでここにしました。

 なお、告知時の自分の記事(各作品コメントつき)はこちら

Frequently Asked Question

Q:Kindle版は出ないんですか?

A:書籍完売後、Kindleによる頒布を予定、とのことです

 前回はやくなくなりすぎたので今回はたくさん在庫があるみたいです。そういうことです。

→(追記)出たぜ

 以下、いただいた感想のスペース。

続きを読む

ねじれ双角錐群『無花果の断面』 11/23文学フリマ東京にて!

 私が参加している文芸同人・ねじれ双角錐群が11月23日の文学フリマ東京にて新刊を出します。

 今年のねじれ双角錐群のテーマは『群れ』。タイトル回収……タイトル回収じゃないか!!!

↑ Keep readingで続き読めるよ

 最高のテーマだと決まった日に思い、翌朝から頭を抱えることになりましたが、しかし原稿を書き終えることには群れへの感受性が研ぎ澄まされた結果か、考えてみれば群れSFというのはSFの中でもすでに確立された一分野だなと思うようになり、たとえば自分が比較的最近読んだ小説の範囲だけですら円城塔『イグノラムス・イグノラビムス』とか飛浩隆『はるかな響き Ein leiser Tone』なんか完全に群れSFなわけであり、それら豊富な先行作品の群れに追いつき、打倒していくという高い志を掲げてできた合同誌『無花果の断面』にご期待ください。

 以下、ネタバレを含まない宣伝感想。

『教室』石井僚一

AはBのまるい横顔を/まっすぐ見つめている/Bは頬杖をつきながら/窓の外をぼんやりと眺めている――教室の一景をAからZまでの視点を通して淡々と描く小さくて寂しげな物語詩。

 群れ、というと集団、そしてみんなが経験している集団生活といえば教室になりますよね。現代に生きる誰しもが持っている群れ経験を思い出させてくれる、群れの愉快さと寂しさがつまった詩。そう、詩なんですよ!

『マーズ・エクリプス』笹帽子

火協連第三開発区の管理官を務める桜井あかりは、三年前の事故で失った情報予言知能を再構成し、地火間無遅延通信を稼働させる。だがその瞬間ネットワークに流れ込んできたのは、彼女自身の死の証明だった。距離と時間を超越する、宇宙移民分散型歴史記述コンピューティングSF。

 拙作。冒頭の見た目をTwitterで宣伝したやつがあるのでそれも見てください。群れを「歴史を共有している集団」として捉えましたが、果たして群れSFになれたのでしょうか。なお、紹介文にも出てくる情報予言知能というキーワードは過去作品で使ったことがある設定ですが、続編などではなく別の作品世界です。

『大勢なので』murashit

っていうか無限なので。

 タイトルと、紹介文がずるいでしょ(季語なし)。こんなのネタバレなしで何も説明できないじゃないか!

 無限らしいです。無限ってこわいよね。

『分散する風景』小林貫

いずれ訪れる母の死を想像して夜泣きしたわたしは、代替母の死をもって心を慣らすことに思い当たる。三十代も半ばに差しかかり黒ぐろ冴えわたる不安の底に、不可抗に沈んでいく。

 短めなんですがめちゃめちゃパワーがある作品です。母親っていうのは、かけがえのない、一般的には唯一性を持つもののはずで、それだけにその死の重大性があるわけじゃないですか。そりゃ想像したら泣いちゃうよ。でもそれに対して代替母が来る。群れSFの新地平を切り開く作品。心して読め。

『電子蝗害の夜』三好景

地球上の広範な地域に突如として発生した動物の群れの異常行動、通称《群禍》の背後には、魚群探知師と呼ばれる高解像度ソナーを携えた言語学者たちの姿があった。群れによって記述される新言語で書かれた世界初の小説作品、待望の全訳。

 生物の群れというのは、蝗害に代表されるように時に暴力的で破滅的な結果をもたらすんだけれども、その単なる個体の総和を超えたすさまじい力に惹かれてしまうところもあって。そのような群れのパワーを感じさせる本格群れSF。群れによって記述される言語、などというハードな設定から何が始まるのか。見届けろ。

『なまえ』鴻上怜

不確かな恋の予感が少女の心をゆらし、知己の女は若き日々を想う。伊豆の離島の凪いだ空気のなか交わされる、いくつかのささめきこと。

 タイトルとあらすじ文がもう既に良いよね……。この作品は読んだとき、シンプルながら自分には真似できない構成だと思って感動してしまった。何食べたらこれ書けるんですか? 合同誌のラストを飾るに相応しい最高の読後感を与えてくれます。良い小説です。


 ねじれ双角錐群『無花果の断面』は2021年11月23日開催の文学フリマ東京 オ-24にて頒布! 全自動ムー大陸さんの素晴らしい表紙が目印です!! 自分も会場にいたりいなかったりします。

 文学フリマ東京の開催にあたっては、検温、マスクの着用、接触確認アプリの導入などの感染症対策への協力が呼びかけられていますので、来場前に必ずチェックをお願いいたします来場者向け案内ページはこちら)。クラスターという単語にすっかり悪いイメージがついてしまった昨今ですが、コロナを倒し、「群れ」を私たちの手に取り戻していきましょう!

 なお、例によってBOOTHでの通販も実施予定とのことです! 遠方の方などは是非ご活用下さい!

雨月物語SF合同『雨は満ち月降り落つる夜』&リフロー型電子書籍化不可能小説合同誌『紙魚はまだ死なない』の復刊

 この度、私が企画した2冊の合同誌について、Amazon Kindle Direct Publishingのペーパーバック出版(POD)を活用した復刊・再販を開始しました。

雨月物語SF合同『雨は満ち月降り落つる夜』

 近世日本を代表する怪異小説『雨月物語』の9編を、SF的視点から再解釈する小説合同誌です。

 特設サイトはこちら。また、過去にいただいた感想の一部をまとめたページがこちら

 オリジナル書籍版は2019年5月の文学フリマ東京にて頒布、また若干数をBOOTHでも通販しましたがおかげさまで即日完売してしまい、以降はKindle版電子書籍でのみ配信を行ってきました。Kindle版電子書籍を普段から利用されている方はそちらで読んでいただけるので良いかと思いますが、紙の本で読みたいという方もいらっしゃるかと思い、この度ペーパーバック版を提供することとしました。

 KDPペーパーバック版での変更点について。オリジナル書籍版は表紙にすべすべとした市松模様加工がされた用紙を使用して、印刷自体はタイトルの2行だけ、というデザインを取っていましたが、KDPペーパーバックの用紙で同じものを印刷するのはさすがに寂しすぎるかと思い、思い切って朧月デザインに変更しております。また、本文レイアウトについて読みやすくするため修正を加えました。これにより若干ページ数が増えたのと、KDPペーパーバックで使われる本文用紙がオリジナル書籍版の本文用紙よりも厚いため、全体的にオリジナル書籍版よりも分厚い仕上がりとなっております。収録作品の内容には変更ありません。

リフロー型電子書籍化不可能小説合同誌『紙魚はまだ死なない』

 リフロー型電子書籍(表示するデバイスの画面サイズや文字サイズ設定に合わせて、流動的なレイアウトで表示する電子書籍)にすることが絶対にできないオリジナル小説6編を集めた合同誌です。

 特設サイトはこちら。また、過去にいただいた感想の一部をまとめたページがこちら

 オリジナル書籍版は2020年5月の文学フリマ東京を目指して制作していましたが、当該イベントが中止となってしまったため、BOOTH通販を主として実施(通販イベントのText-Revolutions EXにも参加)。2刷目も追加し、個人的な感覚としては、通販だけのオリジナル小説の合同誌としては結構多いのでは……という部数をみなさまにお届けさせていただきました。

 上記ページにまとめたように評価するコメントを多くの方にいただきました。また、文學界2021年1月号の特集『文學界書店2021』において、作家の伴名練先生に「ハイストレンジ・ブックス」の1冊として、「次世代の筒井康隆や円城塔を予感させる実験小説群」とのコメントと共にご紹介をいただきました。大変光栄に思います。

 という反響をいただいておりながらも、内容の性質上Kindle版電子書籍を出すというわけにもいかず、一方で主宰の私がもう自家通販のしすぎで店員にマークされたくない等を言い訳に書籍版の3刷再販も行っていなかったため、あとから本書のことを知って下さった方にはお届けすることができない状態が続いてしまっていたのですが、この度Amazonの新サービスが渡りに船となりました。

 KDPペーパーバック版では一部作品の軽微な修正や、KDPの仕様上の制約への対応を行ったほかは、オリジナル書籍版と同内容となっています。こちらは表紙のデザインも変えていません(ただしオリジナル版のエンボス加工の用紙は使用できないため、通常の用紙にマットPP仕上げとなります)。

 あと、復刊に際してちょっと掌編書きました。

 以上二冊、ぜひお楽しみいただければ幸いです。

奇祭SFアンソロジー『来たるべき因習』Kindle版無料キャンペーンと読書会レジュメ公開

 タイトルが全てです!!!

『来たるべき因習』Kindle版 無料キャンペーン

 私が参加している文芸同人・ねじれ双角錐群の奇祭SFアンソロジー『来たるべき因習』のKindle版が期間限定無料キャンペーンを実施しています。まだ読んでいない人は、今すぐ無料でダウンロードするか、キャンペーンが終わってから有料でダウンロードするか、その両方か。選ぶことができます。無料がオススメです。もう読んだ人は、お友達にも教えてあげてね。(キャンペーンは11/11木の夕方まで)

 どんな小説が載っているのか? それは昨年の文学フリマ東京で本誌を頒布したときの告知記事に詳しい。以下の記事です。熟読願います。

 そんな都合の良い自薦の売り文句ではなくて、信頼できる客観的なコメントが読みたいという方は、以下の記事にたくさん掲載されています。ありがたいことです。精読願います。

『来たるべき因習』読書会レジュメ

 さらにもう一つ。ねじれ双角錐群では制作した合同誌の掲載作品の読書会を行うという因習があり、これもまた一つの奇祭なのですが、そのレジュメをなんと公開しています。内輪の活動のメモではありますが、各作品の読みの一つとして少しでも楽しんでもらえる部分があれば幸いです。後夜祭だ。

 ↑ 続きはKeep readingで読める ↑

群れ

 さて、そんなねじれ双角錐群ですが、来たる11月23日の文学フリマ東京にて、新刊の群れ短篇集『無花果の断面』を頒布予定です。以下で告知ページができています。自分も別途告知記事を書く予定なのでご期待下さい!

 ↑ 続きはKeep readingで読める ↑

(おまけ)ねじれ双角錐群既刊一覧

物語を自覚する

架空の絵画をめぐる

人類以外の語り手

神待ち

奇祭SF

Kindle Direct Publishing (KDP)がペーパーバックに対応したので早速出版してみた(補遺・二冊目編)

 二冊目のペーパーバック作成作業をやっているうちに気づいたことをメモしておきます。

 元の記事は以下から始まる3本です。

ISBNについて

 最初の記事の追記にも書きましたが、KDPで無料取得できるISBNは、「979-8」から始まります。これが特異というか、日本で普通流通するやつじゃないよねということだけ書いておいたのですが、詳しい方に色々情報をもらいました。例えば以下。

 引用されているとおり979-8は米国出版社およびself-publishers(KDPがどちらに該当する扱いなのかは定かではない)がグローバルに利用できるということだそうです。なお、そもそも大前提として、公式の記載にあるとおり「KDP が提供する無料の ISBN は、KDP で Amazon およびその流通パートナーに配本する場合にのみ使用できます。この ISBN は、別の出版社やセルフ出版サービスでは使用できません。」ということなので、このISBNコードを取ったからAmazon以外の販路でどうこう、みたいなのはそもそもないです。まあ趣味でやる分には飾りだと思って気にしなくていい気がする。気にしないようにするにはあまりにもデカい。

表紙テンプレートツールについて

 英語じゃんとかインチじゃんとか散々言いましたが、改めて使ったら日本語にバージョンアップされてました。PDFファイルをIllustratorで開いてガイドを付けた画面がこんな感じです。改善が進んでいますね。

本文用紙について

 ページ数の多い本を作ろうとして気づきましたが、計算ツールの背幅の出力結果から考えるに、当初書いていた70Kということはどうやらなさそうです。90Kかな?(以上、クリームの方の紙の話です)

 また、テンプレツールで両方試すとわかりますが、本文用紙が白のときとクリームの時で背幅が変わります。具体的には白よりもクリームの方が厚いようです。(クリーム選んだつもりなのに白になってしまっていて、表紙ファイルをアップロードしたら大きさが違うって怒られる事象が発生して苦しめられました……)

おまけ

Kindle Direct Publishing (KDP)がペーパーバックに対応したので早速出版してみた(商品到着編)

 本当に届きました

 前回の記事はこちら。

 上記の昨日の記事に書いたとおり、本当に届くのかと疑う心がありましたが、本当に届いてしまいました。結果的に入稿から48時間以内に本が手元に届いていることになります。すごすぎないか。これ、もはや試し刷りサービスとしても使えてしまうんじゃない?

表紙と裏表紙

 思ったよりちゃんとしてる(失礼)、というのが第一印象でした。

 ここから紙の話をしますが、始めに宣言しますと、紙について私は素人です。すごいとんちんかんなことを書いてるかもしれませんが専門家のツッコミをお待ちしております。

 触った感じ、用紙は普通の、手触り良い程々の厚さの紙です。公式には、紙は80ポンド(220 g/m²)であるという記述があります。ここにもヤードポンドの帝国が……。ここのツールを使って四六版のkgに換算すると約189kgと出ました(四六版に換算していいのか自体わかってない)。素人なのでよくわかりませんが、これ日本で印刷してるんだから、そんなポンド仕様の紙買ってきて使ってるわけなくて、日本で流通量が多い一般的な用紙を使っているはずだと考えれば、近い数字で、OK特アートポスト+180Kとかなのでは、と想像します。若干黄色っぽいのもそれっぽい。一応手元に紙見本があり、見比べてみたところ、まあこれかなぁ~と思う。適当言いました。よくわかりません。

 印刷は、美しいという感じではないが、特に問題は感じないというクオリティです。そもそも今回の表紙デザイン自体があんまりビビッドなものではないので、ちょっと評価は難しいです。

 仕上げオプションは光沢なしを選びましたが、マットPPというやつだと思います。……多分。自信なくなってきた。

 裏表紙の左下に例のクソデカバーコードが付いてアメリカンな風格を放っております。これはバーコード込みのデザインで入稿したら消せると書いてありましたが、そのときにもこのクソデカバーコードを自分で付けないといけないということなのだろうか。表4のデザインには制約がかかると思った方が良さそうですね。

 今回は薄い本だったので背には何も書いていません。ですが、表1と背の間の境界線はテンプレートのガイドに合わせたところピッタリになっていました。

本文

↑左が今回のPODペーパーバック。右が淡クリームキンマリ90K・オンデマンド印刷(STARBOOKS)。この適当な写真では見分けがつかない。写真が適当なので。

 

 

 これもちゃんとしています。っていうか、ペーパーバックっていう単語が悪いんですよ。なんか一昔前の洋書のペーパーバックという連想で、藁半紙かよみたいな灰色のゴワゴワの紙想像しちゃうじゃないですか(俺だけか?)。そう言うんじゃなくてちゃんとした本の品質が保たれています。安心してください。

 クリームの用紙を選択しましたが、これは表紙と同様のロジックで推理すると、淡クリームキンマリ70K……かな……(追記:よりページ数の多い本を作ろうとして背幅をツールで計算したところ、結構分厚くなるので、70Kということはなさそうです。90Kかな?)。素人の適当意見なので紙マイスターからのツッコミお待ちしています。公式には、55 ポンド(90 g/m²)という記載があります。またもやリコーのツールを使って換算してみると、四六版で約77.5kg。

 印刷や製本の品質も問題はありません。最初のプレビュー時にNG判定を喰らったマージン無視組版は、結局KDPが受け入れてくれるギリギリまで配置することで回避したのですが、まあ実用上読みやすい本にしようと思ったらマージンこれくらいだよな、というラインにピッタリきています。やっぱりあのプレビュー機能は良いですね。

 さて、実は一番サプライズだったのは、末尾に謎の4ページ追加がなされていたという点です。別に品質に全く問題ないのですが、プレビューの表示と違うものが出てきたという意味で若干驚きました。

 以下プレビュー機能でのサムネイル表示で確認できるように、私が入稿した原稿は本文40ページです。印刷コストとかの計算にもこの40という数字が使われています。しかし、実際に届いた本では、このあとに2枚、すなわち44ページまでが挿入されていました。41、42、43ページは白紙で、44ページにはバーコードと「Printed in Japan 落丁、乱丁本のお問い合わせはAmazon.co.jpカスタマーサービスへ」の記載があります。バーコードはASINでもISBNでもない何かの数字になっており用途は不明です。KDPペーパーバックの管理IDでしょうか。

↑プレビューでは奥付39ページの裏白紙40ページで終わっている

 最終ページにこのバーコードと定型文を入れなければならないという仕様なのだとして、その1枚だけでなく、その前に遊び紙が1枚挟まったのはなぜでしょうか。無線綴じだけど4の倍数縛りが発生するのか? ここは謎なので他のパターンの方の情報があったら下さい。

総括

 現物を手にして、印刷物としてのクオリティは十分であり、何かすごく感動する要素は別にないですが、逆に本としての没入感を削ぐ要素もない、問題のない品質だと感じました。これ、「PODのペーパーバックだと品質がね……」みたいなこと、無いですよ。少なくとも小説本の本文においては。表紙の特殊用紙とか箔押しとか遊び紙とかやりたい人は諦めてください。市場が違う。

 そうすると、冒頭に書いたとおり、入稿から48時間経ってないのに手元に本があるというスピード感がやっぱりすごいと思います。トータルでの評価としては、昨日の記事に書いた小括から変わっておらず、むしろ、これ同人的には結構良いかもしれん……という気持ちが若干強まりました。ロイヤリティの決まり方が営利には向いてないと思いますが、利益出したいわけじゃない小説同人誌の、特に部数が読みにくいイベント合わせではない再版とかでかなり良いんじゃないか……という感じがしております(それKindle版で良いじゃん、と言われたらその通りです。自分もKindle版かPODペーパーバックかという選択肢があったらKindle版で買うと思います。でも、その選択肢があったときにペーパーバックを選ぶ人も必ずいるはずで、その人たちを初期費用なしで拾えるなら良いじゃん、とも思うのです。あとは本作みたいにKindle版にしてもリフローできないやつとかは、ペーパーバックが有効ということもあるでしょう)。

 これから試してみようと思っている人に本記事の情報が役に立てば幸いです。楽しんでいきましょう。

 なお、この印刷製本ってネクストパブリッシングのAmazonPODと仕様同じだったりするんだろうか、というのも気になってます。あと海外でオーダーしたらどういう違いが生まれるのかとか。誰か教えてください。

↑実物の品質をチェックしたいと思ったときにどうぞ。事実上の最安値印刷サンプルだ。ついでに小説も読める。感想ください。

↓↓補遺記事書きました↓↓

Kindle Direct Publishing (KDP)がペーパーバックに対応したので早速出版してみた(販売開始編)

 昨日、ダイレクトダイビング人柱としてKDPでのペーパーバック出版を実施しました。続きです。

 入稿後約15時間でレビューが完了し、既にペーパーバック版が販売されています。本記事では販売までの流れと商品ページを見てわかること、ここまでの使ってみての感想を書きます。

販売までの流れ

 流れというほどのこともなく、Amazon側でのレビュー(審査)については、体感としてはKindle版を出すときと何も変わっていません。72時間以内に完了するということになっていますが、今回は15時間で完了した、というのも過去にKindle版を出したときの体感と概ね一致しています。完全に想像でしかありませんが、ペーパーバック版のレビュー内容はKindle版と変わらないのでは、と思います(内容に明らかな著作権的な問題がないかとか)。印刷領域のはみ出しとかは前述の自動プレビューで確認できていますからね。

販売開始の通知

 以下が販売開始時に送られてきたメールです。

  • 購入可能にはなったけれども、リンク、商品説明、試し読みなどの各機能やページ上の記載は順次追いついてくるので、ちょっと待っとけということが書かれています。これはまあそういうものなので違和感はありません。ちなみに「出版関連のタイムライン」というのは、こちらのページへのリンクが貼ってありました。
  • コピーの注文、というところに、「著者用コピーの注文を印刷コストで行うことができます」と書いてあります。つまり私の本の場合であれば販売価格の734円(最低販売価格で設定した667円に消費税10%)ではなく、印刷コストの400円(もしくはそれに消費税10%?)で自分用に買えるということでしょう。良いじゃんと思ったのですが、リンク先を読むと、「日本のマーケットプレイス (amazon.co.jp) は現在選択できません」とのこと。日本在住者の場合は、自分の本を手に入れるのも、普通に購入することになるようです。
  • あとはKindle版と変わらない内容かと思います。著者セントラルへの登録は自分で行いました。画面の表示は後述します。

販売ページ

 実際の商品販売ページの、販売開始直後のキャプチャが以下です。

  • 商品説明、試し読み、在庫あり表示、はいずれも問題なく登録されているようです。カテゴリだけ未表示になっていました。これは待っていれば追いついてくるでしょう。
  • この画面を見て個人的に一番びっくりしたのは、☑prime 無料翌日配達 の表示です。調べると既存サービスのネクストパブリッシングでもそうだったので、既に使いこなしていた人にとっては驚くことではないのかもしれませんが、POD自体が初めての自分は、翌日配達ってすごすぎるだろと感動してしまいました。注文するまでまだ印刷始まってないんですよ? この本まだこの世に存在しないのに、それが明日届くって? これは流通モンスターの力ですよね……。実はまだ半分信じてません。今日注文しましたので、本当に明日届くのか疑いながら待ちます。
  • 中央に「すべての形式と版を表示」「ペーパーバック」の表示がありますが、おそらくKindle版と同じ本をペーパーバックで出すと、一般の本と同じように、同一の本に対してKindleと物理本を選ぶ選択肢のような表示になると思われます。Amazonのプラットフォームで販売ができて、Kindle版も物理も同じページで売れる、というのはマーケティング的には大きいと思います
  • 出版社は「Independently published」となっていました。Kindle版は好き勝手に名乗れるのですが、これは強制的に設定されたものになります。ISBNをAmazon経由取得したときに表示されたのと同じなので、ISBNを外部で取得して持ち込んだら独自の屋号を表示することもできるんでしょうか?
  • 試し読みにも対応していて、「表紙」「著作権」「最初のページ」「裏表紙」「ランダムページピック」がコンテンツとして入っていました。
    • 「著作権」だけはちょっと不思議です。今回単体の原稿にするにあたり、3分クッキング的に即席の前付けを入れたんですが、ちゃんとそこが「著作権」ページとして認識されてるんですよね。これはページ位置で見てるのか、なんなのか。
↑試し読み画面で目次を開いたところ
  • Amazonパワーとして特筆すべき点は、今回の出版によって、Amazon.co.jpだけでなく、USUKDEFRESITCAAU世界各国ストアでも販売が開始されています。欧州のストアは既に在庫あり表示になっていました。北米とオーストラリアは現時点ではまだ在庫なしですが、単純な時間差と思われます。
    • これはKindle版でも同じです。ですがKindle版だったら単にデータがダウンロードできるというだけの話、そこまで感動する要素はありません。ところがこれは、海外のユーザーがボタン押したら物理本がその人の家に届くわけで、日本に居ながらにして個人でそれができるって、すごいですよ。すごくないですか? 自分も海外に住んでいたことがありますが、そのときは日本の本を売っている本屋に行くと(一応あるんです日系の本屋が)意味不明な高値で本が売られていて発狂しそうになったものです。そのときは日本から持ち込んだKindle本に救われました(いつco.jpのアカウントBANされないかちょっと心配だったけど)。グローバルにPODできれば紙の本すらまあまあリーズナブルな価格で海外に届くんですよ! ロマンとしてすごく良いと思います。
  • 前述しましたが著者セントラルに本を登録したので、私のページに行くと以下のように紙の本とKindle本が並んでいる状態で表示されます。紙とKindleを横並びでマーケットプレイスに置ける思想ですね。これもいい。
↑著者セントラルで並んでいるところ。一番右が今回のペーパーバック。

ここまでの小括

  • KDPのペーパーバックは、PODとして技術的にすごいことがあるのかというと、多分そんな特別なことはありません(偉そうにいってますが自分はPOD使うのはじめてなので、いやいや違うよというところがあれば誰か教えてください)。プレビューと自動チェック機能は頑張ってると思ったけど、そこくらいか。
  • しかし、Amazonという巨大プラットフォームでの販売ができること、同一本をKindle本とPODペーパーバックの両エディションで販売できること、翌日配達対応など、Amazonの暴力的規模の経済に乗っかれるのはともかく大きいでしょう。小さいPOD事業者はかなり苦しいことになるのではないかと想像します。
  • 一方で、自分は同人活動としてやっているので、同人誌という意味でいうと、いわゆる普通の(PODではない)同人誌の印刷とはセグメントが違うかなと思っています。Amazonの今回の対応を紹介した記事では在庫リスク無し、なんて謳われていましたが、そもそも同人誌で別に在庫リスクって部屋のスペースくらいのもので(いやそれ深刻な問題だが)、金銭的な問題はそこまで大きくないですよね。それに色々紙選びとかこだわって、出来上がった本をイベント会場で頒布するのが楽しいわけでしょう。このKDPのペーパーバックはそこと直接食い合うものではないと思ってます。
  • と、いいつつ、今後どうなるかはわからないもののコロナ禍でイベントが中止になり、同人誌を3桁部自家通販してコンビニの店員に完全マークされた経験を思い返すと、やっぱり発送とかその辺を何も気にしなくていいPODは美味しいし、それがAmazonという販路でできるというのはめちゃめちゃ強いな……とも思ったりします。
  • コストですが、今回はお試し人柱なので自分に利益の出ない最低価格設定ですけれど、現実的にどうなるのかということを試しに試算してみます。今回の『冷たくて乾いた』を収録した合同誌『紙魚はまだ死なない』はB6版、本文210ページです。BOOTH通販時の価格は800円でした(これはBOOTH手数料引かれたあとで印刷費をちょうど良く回収するラインだと思ってください)。KDPの計算ツールに210ページで入れてみると、以下の通り、印刷コスト595円、最低希望小売価格は992円になります。まあ1000円(+消費税で1100円)で売って利益なしということですね。1100円で売れるならかなり優秀じゃないかと思いますけど、どうでしょう? これ判型関係なくページ数で決まるみたいなので、二段組みとかの同人誌ならもっと安く上がる。
↑1100円で売ったら、印刷費595円、ベゾス400円、俺5円、財務省100円。

 以上です。あとは実際に届いたものの紙や印刷の品質が気になるところですので、明日届いたら(本当に届くのか!?)写真含めレビューしたいと思います!

↓↓レビューしました↓↓

Kindle Direct Publishing (KDP)がペーパーバックに対応したので早速出版してみた(登録編)

 してみた!!!(まだ出版されてません。登録完了して審査中の段階です)

(追記)販売開始したので続きも書きました!!

 KDPまだ流行ってない頃にいち早く電子書籍を出してみてから早6年半。ついにKindle Direct Publishingが日本でもペーパーバックのオンデマンド出版に対応したとのことで、早速やってみました! 対応したよという記事がタイムラインに流れてきて知ったのが19:30、そこから作業して21:15に入稿しました。スピードでは負けない。

 といってもそんなスピードで作品が書けるわけはなく、入稿したのは昨年発行したリフロー型電子書籍化不可能小説合同誌『紙魚はまだ死なない』の収録作である『冷たくて乾いた』です。ちょうど先週末にPDF版をBOOTHで出したんですよね。PDFだと作品意図が再現できないのですがとか言い訳しながら出していたところで、なんというタイミング。このサービスの使い勝手やクオリティを見極める意味でもこれ以上の題材はないと、スピード勝負で入稿しました。

 以下に実際の作業内容を振り返りつつ書いていこうと思います。

ポータルから作成開始

 まずこの画面にペーパーバックボタンが出現してるんですよね。押します。あとは全て画面の指示に従うだけです。

 ……ということって普通なくて、事前に色々サービスの仕様とかを調べるもんだと思うのですが、残念ながら本日時点では公式のドキュメントはちょっと記述がわかりにくいなと思いました。

 主なコンテンツはこのあたりにあります。

 ただ、電子書籍の方のKDPも、6年半前に自分が手探りでやったときと比べたら今は大分情報が多くなって親切になりました。このサービスもどんどん育って使いやすくなってくれることでしょう。

 上記の画面で「ペーパーバック」を選んだあとの作業ステップとしては、「ペーパーバックの詳細情報」「ペーパーバックのコンテンツ」「ペーパーバックの価格設定」の3つとなります。

ペーパーバックの詳細情報

 タイトル、作者、カテゴリーなど、Kindle版を出すときと変わらない基本情報を入力します。Kindle版やったことがあれば何も特別なことはありません。はじめて触る人でもつまずくポイントはないと思います。

ペーパーバックのコンテンツ

 ここがメインパートです。ポイントを箇条書きで記録しておきます。

  • 印刷版ISBN:ISBNがないと出版できないのですが、その場でボタンを押すことでAmazonを通して無料のISBNを取得できます。自分は即押ししました。名義はIndependent Publisherということになるようです(そういえばKindle版と違い、「詳細情報」で出版社を書く欄がなかった)
    • (追記)これで払い出されたISBNが、「979-8750530052」でした。979なんだ。日本の一般書籍とは違う番号帯ですね。979-8はアメリカの最近の番号帯?なんでしょうか?→情報いただきました
  • 印刷オプション
    • インクと用紙のタイプで、本文の白黒orカラーorプレミアムカラーが選べ、さらに本文白黒の場合は紙をクリームか白か選べるそうです。今回は小説ですので本文白黒・紙はクリームを選択しました。(追記)標準カラーはco.jpでは選べないという記載がありました。選択肢にはありますが、選んでも日本で販売されないと言うことかと思います。
    • 判型は色々選べ、試していないのですがカスタムで独自判型も入力できるようです。そのときに料金がどう変わるのかとか調べてないのですが、これはすごく可能性を感じる機能です。とはいえ今回は元ネタの原稿がありそれを入稿するので、B6にします。しかしB6という選択肢はなく、128mm x 182mmを選ぶ形でした。全部にしつこくインチが併記してあるのがうるさい。このあたりはアメリカ様商売です。
    • 裁ち落とし設定、よくわからないので普通はなくて良いよって言うのを信用してなしにしました。
    • 表紙仕上げ、これはもう印刷見本とかないのでわからないんですが、今回は「小説やその他のフィクションに適しています」と謳っている光沢なしを選択しました。
    • ページを読む方向。良い質問ですね(今回の作品『冷たくて乾いた』がそれをテーマとしているので)。「右から左・縦書き」を選びます。多分翻訳したからだけど、右綴じ・左綴じじゃないのがアメリカンだ。
↑やたらインチが書いてある判型選択画面
  • 原稿
    • いよいよ原稿のアップロードです。現在、日本語の場合はPDFにしか対応していない模様です。(英語はDOC (.doc)、DOCX (.docx)、HTML (.html)、RTF (.rtf) 形式も対応しているとのことなので、日本語もそのうちそこまで対応するかもしれません)
    • 今回は元原稿がIndesignで作成されているので、単ページ・裁ち落とし無しにしてPDFを作成してアップロードします。
    • 多分Wordとかで書いてPDF化しても(フォント埋め込みだけ気をつければ)全く問題ないでしょう。
  • 表紙
    • 表紙は今回0から作成となりました。元原稿は合同誌収録作なので、今回の単品用の表紙を新規に作成する必要があったためです。
    • 表紙作成ツールというのがあるらしいですが(いまこの記事を書いてて知った)、co.jpでは提供されていません。提供されると良いですね。
    • 私が今回使ったのは、表紙テンプレート作成ツールというものです。ここに判型やページ数を入れると自動でテンプレを作成してくれるというもので、これが特殊判型などにも対応しているようであるということは、このテンプレ自動生成技術に関しては多くの同人出版印刷所よりもすごいことをやっているのではないか、と思いました。
    • で、テンプレを作ってダウンロードしたんですが、zipファイルが落ちてきて、開けてみると……
↑生成されたテンプレート(同じ内容のPNG画像とPDFファイル、readme.txtが同梱)
  • 表紙(続き)
    • いやいや。まず説明が全部英語です。ここで英語になるんだっていう。それは許すとして、ここはヤードポンド法の支配下にあり、私が128mm x 182mmと入力したのに勝手にインチに変換して生じた誤差で128.02mmとかになっております。アメリカ様!!
    • Whatever is visible in your digital artwork will also be visible in your printed artwork.はちょっと好き。ここは日本だろうがアメリカだろうがともかく初心者のやらかしポイントなんだろうなぁ(ちゃんとテンプレを消してから入稿しないとテンプレの線が印刷されるよ、っていうことです)
    • さて、ファイル形式にご注目ください。PNG画像と、PDFファイルです。これをどう使えっていうんだよというところですね。同梱されているreadme.txtによると以下の通りです(もちろんこれも全部英語)
      1. Open the PDF or PNG file for the Paperback Book Cover Template in your image editing software.
      2. Create a new layer in your image editing software. This layer will serve as the design layer.
      3. Design your cover in the design layer, using the template PDF or PNG file as the guide layer. The artwork should extend to the outside edge of the template’s pink zone to ensure a white border will not exist within the printed work. Do not move the guide layer, as it is properly aligned for our printing specifications.
        (後略)
    • 私はIllustratorでこのPNG画像を取り込んで、枠線とかには自分でガイドを作って、その上で表紙を作成して、PDFとして保存して入稿ファイルを作りました。ポイントはPDFで出力しないといけないというところです。表紙もPDF入稿なんですよね。
    • Illustratorが使えない場合、レイヤーが扱える画像処理ソフトであれば無料のソフトウェアでも代替ができると思いますが、PDF化するというのがちょっと面倒かもしれません。そのあたりの処理にせよ、この表紙の作成自体にせよ(説明が英語なのも含め)ちょっと難易度が高めのように見受けられ、印刷原稿を作って印刷所に入稿するという経験をしたことがない方には少々ハードルが高めに感じました。このあたりは今後改善されていくと良いですね。
  • 本のプレビュー
    • 入稿データの表紙と原稿を解析してくっつけ、プレビュー画面で表示して仕上がりをチェックできます。さらに、その際に問題がある原稿は警告が表示されて先に進めないようになっています。これはすごい機能ですね! ここはさすがAmazonだと思いました。
    • 初回のアップロード時、私の原稿はがっつり警告を喰らいました。ただ、かなり正しい警告です。詳細はネタバレになるのですが、この作品は意図的に印刷領域をはみ出して裁ち落としにかかる本文があり(迷惑な原稿だな……)、そこがしっかりNG判定されていたというものです。ネタバレになるので画像を貼りませんが、プレビュー画面でここがダメだよというのを赤枠で囲って表示してくれます。これはすごい。この判定機能やプレビュー機能は、はじめて作った人がノド狭すぎて事故るみたいなのを軽減してくれる良い機能だと思いました。
    • 警告された部分を修正するとOKになりました。このやりとりが自動化されてるのはすごいですね。

ペーパーバックの価格設定

 原稿を作成し終わったので、最後に価格を設定します。ペーパーバックは印刷オプションとページ数に応じた印刷コストが設定されています。さらにロイヤリティレートが60%なので、最低希望小売価格は、印刷コストを0.6で割った金額になります。

 今回の僕の本の場合はページ数が少ないので最低コストの400円になっています。これを0.6で割って、価格を667円と設定しました。つまりこの本が3億冊売れると、僕の懐に0円入ります。よろしくお願いいたします。

審査

 登録を完了すると、そのあとはオペレーターが審査するようです。この審査というのが、Kindle版のような外形的なもの(いや知らんけどね)でサクッとおわるのか、内容に関しても細かく見てくるのか(見られるとなると、この本は結構くせ者なので、コメントされるかもしれない……)、まだ全然わかりません。楽しみに待ってみようと思います。結果は報告します。

 なお、実出版する前に校正印刷ができるみたいでしたが、もうこれはスピードの勝負だと思ったので今回はその機能は使っていません。はじめて印刷する原稿で、クオリティを求めてじっくり取り組む場合は、もちろん使った方がいい機能だと思います。

(追記)販売開始された……。詳細を今夜更新します。→した!!!

 ↓↓続編↓↓