リフロー型電子書籍化不可能小説合同誌『紙魚はまだ死なない』、テキレボEXに参加します

 記事タイトルが長すぎる。

通販サイトはこちら!!

 というわけで5月18日から31日まで開催される、 全通販型即売会【Text-Revolutions Extra】(テキレボEX) に参加します。テキレボは文芸同人誌即売会ですが、今回のテキレボEXは全通販型ということで、開催期間中に専用のサイトで本を選んで注文すると、まとめて届くというシステムです。何冊買っても手数料は300円固定、Aさんの同人誌とBさんの同人誌とCさんの同人誌をまとめて買ったらまとめて届くので個別に買うより送料もお得、私たちの暮らしを支えてくれている物流業界への負荷も少ない、そんな感じです。神システムじゃん。

 サークルささのは文庫は、スペース登別-05にてお待ちしております。登別、良いですよね。一番好きな温泉です。行ったことない。コロナが去ったら行こうね。頒布物は二つ。リフロー型電子書籍化不可能小説合同誌『紙魚はまだ死なない』と、女子大生百合/狐×狼/都市伝説伝奇ミステリ何でもあり長編小説『ドッペルゲンガー百合 12人狐あり・通暁知悉の村』です。いずれも文フリ東京の新刊のはずだったものなので実質新刊です。

『紙魚はまだ死なない』については、BOOTH通販分があっという間に完売してしまったため第二刷となります。なお、テキレボEXの会期の終了後に、残った分をBOOTHでも再販します。残らないということはさすがにないと思うけど。そこは皆さんの口コミにかかっています。

 改めて、どんな本なのかは公式サイトを見ていただくのが一番ですし、私からの紹介はすでに告知記事がありますが、すでにBOOTH通販分で本書を手にした方からありがたい感想もいただいているので、以下、感想の一部を掲載させていただきたいと思います。ただし、ネタバレを含むものもあるので、これはネタバレラインかなという私の想定を超えているものは、一番下に載せることにします。感想をくださった皆さん(載せ切れてない分も含め)、本当にありがとうございます!!


以下ネタバレあり系の感想です

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リフロー型電子書籍化不可能小説合同誌『紙魚はまだ死なない』通販開始!!

リフロー型電子書籍化不可能小説合同誌 紙魚はまだ死なない

 第三十回文学フリマ東京にて頒布を予定していたリフロー型電子書籍化不可能小説合同誌『紙魚はまだ死なない』の通販を開始します。残念ながら文学フリマは中止となりましたが、ぜひご自宅でお楽しみください。

 もともと、趣味で小説を書くにおいては、現代にはインターネットという素晴らしいインフラがあるのだから、そこで公開して読んでもらえばいいじゃないと思っていて、そもそも自分は小説書き始めたのだってインターネット上で知り合った人たちがきっかけだったからずっとオンラインで書いてきたし、読む側においても特に海外にいた時期には電子書籍がある時代で本当に救われたと思ったくらいだし、そういう考え方の自分だったから、紙の本にそこまで重要性を感じてなくて、まして同人誌って別にそんなに興味ないなと思っていた時期もあったんですけど、あるとき幸運にもお誘いをいただいて、合同誌というやつに参加させてもらって、文フリにサークル側で参加してみたら、なんだこれ面白いじゃんみたいな、みんなめちゃめちゃ楽しいことやってんなみたいな、そういう嬉しい発見があり、ここ数年は文フリエンジョイオタクになっていたのだけれど、でもイベントの楽しさはそれはそれとして、別に紙の本が尊いわけじゃないでしょ、っていうか、文フリで出した同人誌、どうせKindle版とかにしてるじゃん、ぶっちゃけKindle版の方がやっぱり便利でしょ、なんて振り返ったときに、じゃあ逆に、せっかく文フリに持って行くんなら、紙に印刷した同人誌を持って行くんなら、紙の本でしかできないことをやってみようじゃないかというアイデアが生まれて、この本になりました。電子書籍にできない本、っていうのは条件が厳しすぎるので(極論画像にしちゃえばなんでもいけるからね)、リフロー型電子書籍にできない本、というレギュレーションにして、ツイッターで興味を示してくださった方にお声かけしてこの企画が実現しています。文フリも中止になってしまい、しばらくは3密な即売会イベントもできないでしょうし、各種コンテンツは電子媒体で公開するのが世の流れという中で、結果的にはなんともタイミングの悪い企画になってしまったわけですが、家で読んでください! Stay Home, Stop the Spread, Save Lives (of Silverfish).

 さて、宣伝エントリ恒例の各作品ネタバレなし感想です。ともかく面白い作品がそろっている。特設サイトでは作品ごとの宣伝文と、冒頭ページのサンプルも見られますので併せてどうぞ!

春霞エンタングルメント /cydonianbanana

 リフロー不可要素は三段組み。複数段組の本文が並行に進むという演出は結構先行事例があるけれど、そこに「地球−カリスト間の通信ラグで四〇分間ずれた時間を過ごす二人」という独自要素が加わることで大きく色合いが変化していて、さらに可能世界・多世界解釈みたいな話が入ってきてハードSFとしてまとまっている。温泉に行きたい人は読んでくれ。

しのはら荘にようこそ!/ソルト佐藤

 リフロー不可要素はアパートの部屋(?)。SFが多い本誌ですがこれはミステリ。ライト路線のパロディ(タイトルの時点で明らかですね)と、古典推理小説のパロディが重なり合って、硬軟織り交ぜた独自の展開を形成している。シリアスとギャグの同居割合が個人的にすごくしっくり来ています。 巨乳の美人管理人さん好きは読んでくれ。

中労委令36.10.16三光インテック事件(判レビ1357.82)/皆月蒼葉

 リフロー不可要素は本文サンプル時点で明らかでないので秘密(と思ったけど皆月蒼葉さんの告知エントリの追加画像を見るとちょっとだけわかるぞ!)。判例レビュー小説という新ジャンルを確立している斬新なSF作品。いや判例でどう小説になるんだよと思うでしょうが、いや小説になってるんですよ、悔しいことに。ともかく硬くて読みにくい冒頭ページから、予想外に展開していってめちゃくちゃ笑える。判例好きは読んでくれ。判例好きではない大多数の人も読んでくれ。

点対/murashit

 リフロー不可要素は二行一組。実はこの企画、致命的なネタ被りが起こらないように、参加者は「何をリフロー不可要素にするか」を事前に共有しています。murashitさんは「二行ワンセット」と言っていて、「上下二段組ってことですか?」という質問に「二行ごとにセットになっているイメージです!」と返していて、全員の頭の上に「?」が浮かびました。こういう意味だったとは。ともかくかっこいいので気になったら全員読んでくれ。

冷たくて乾いた/笹帽子

 リフロー不可要素は本文サンプル時点で明らかでないので秘密。ページめくったらわかります。本について、ページをめくることについて書いた。あと、自分が去年書いた作品に対して「時代は姉SF」という感想をいただいたので(ありがたいね)、じゃあ妹SF書こうかなと思った(なぜ)。でもこれ妹SFになってるか? 妹SFになってるかどうか審判を下すために読んでくれ。

ボーイミーツミーツ/鴻上怜

 リフロー不可要素は攻略Wiki(???)。必然性を持ってメイリオで小説を組んでるというのは相当希有な作品ではないでしょうか。本文サンプル時点で落ちてるんだけど、特設サイトのあらすじ文が完全に詐欺であり、怒濤の勢いで笑わせてくるハードSFギャグ小説。だって次のページから何が始まるのか絶対想像できないでしょ? 想像できない人は読んでくれ。


 通販はBOOTHにて実施。あんしんBOOTHパックにて匿名発送します。

 また、Text-Revolutions Extraにも参加予定です。よろしく!

雨月物語SF『雨は満ち月降り落つる夜』Kindle版無料キャンペーン!

 実施してます!!(4/20 16:00まで)

 昨年5月の文学フリマ東京で頒布した合同誌です。 近世日本文学を代表する怪異小説『雨月物語』の9編を、SF的視点から再解釈する小説合同誌となります。

 発行からまもなく1年となり、今回無料キャンペーンを実施する運びとなりました。この機会に是非お読みください。なお、現在はKindle Unlimited等読み放題で読める状態にもなっていますが、こちらは今回の無料キャンペーン後に登録解除する予定ですので、KU契約者の方も今のうちにDLされることをオススメします。

以下、発行当時の宣伝記事です。

 以下、高度な専門訓練を受けたエゴサチームが収集してきた皆様の感想の一部を掲載させていただきます。

読書メーターでいただいた感想

https://bookmeter.com/books/13866033

https://bookmeter.com/books/13818703

リフロー型電子書籍化不可能小説合同誌『紙魚はまだ死なない』本文サンプルを公開

 記事のタイトルが長すぎる。

 こちらで公開しております。

 各作品の冒頭見開き1ページ(いつもわからなくなるんだよな、見開き1ページって2ページなんじゃないの)を公開しています。一見して「ああ、これはリフローできないな」という作品もあれば、一瞬普通っぽく見えてよく見ると変という作品もあり、冒頭ページならリフローできるよなこれという作品もあります。また、あらすじ(?)文だけだとまだ見えなかったところから、冒頭ページでなんとなく方向性みえてくるという作品もあれば、あらすじ文がただの詐欺でしかなかったことがわかる作品もあり、是非チェックしていただきたいところです。

 昨日、印刷所への入稿が完了しています。お楽しみに。

#エア文フリ東京 はじめました

 5月に開催予定だった第三十回文学フリマ東京の中止がアナウンスされました。現在の状況を考慮すると妥当な判断であり、検討中の段階からタイムリーかつ明確に情報を公開し、このタイミングでの中止判断を行った事務局には改めて感謝するとともに、労いの気持ちを込めて……エア文フリをします。誰よりも早く。

 というわけで、女子大生百合/狐×狼/都市伝説伝奇ミステリ何でもあり長編小説『ドッペルゲンガー百合 12人狐あり・通暁知悉の村』書籍版の通販を開始しました。ジャンルが長過ぎる。まあ概ねジャンル名の通りで、主要登場人物は都内某大学の文化人類学系の学生で、その一人である主人公の神谷内香織はある日自分のドッペルゲンガーを目撃。ちょうどその日の自主ゼミに持ち込まれた資料は、人間そっくりに化けて悪さをする半妖狐の伝承と、その伝承がいつの間にか都市伝説化している現象の考察だった。という話ですがそれの何が百合で狐×狼なのかは書いてたら僕自身もよくわからなくなってきたので読んでみてください。サンプルを読んでみたいなって人は、サンプルどころか本編が小説家になろうで読めます。それなのにこのクソ分厚くてかさばる本をわざわざ通販で買って印刷会社と運送会社と笹を応援してやろうという人だけが買ってください。

 今回の書籍版は、文フリで売る本複数あったら楽しそうだしなんか刷ろうと思って、既に完結済みの作品を手直し&書き下ろしの短編1編を加えたものなので、かなり事前に刷り上がっていました。こんな形で効果が出るとは思っていなかったし望んでいませんでしたが……。

 なお、文学フリマ東京参加の本命だったリフロー型電子書籍化不可能小説合同誌『紙魚はまだ死なない』についても、予定通りのスケジュールで制作し、通販を実施する予定です。ご期待ください!

神待ちSF『心射方位図の赤道で待ってる』Kindle版の配信開始

 ついに配信が開始されました。

 文フリ東京のときの告知記事はこちら。神待ちという単語をレギュレーションに書かれたSF・幻想小説7編の合同誌です。僕は女子中学生が神待ちアプリの暴走で大正時代の旧制高校の男子学生とマッチングしてしまってそのままピークを目指す小説を書いています。年末年始のお供にいかがでしょうか。


頂いた感想の一部(本当にありがとうございます!!!)

ねじれ双角錐群『心射方位図の赤道で待ってる』 | 水平線上の雨

 ↑全作品レビューいただいています。神か?

↑こちらも全作レビュー記事です。神か??

心射方位図の赤道で待ってる ソルト佐藤さんの感想 – 読書メーター

短編小説を書くときに何を考えているのか書く:『吸血鬼はなぜ鏡の中で上下反転しないのか?』

 今年の振り返りに代えて自作解説をします。自作解説をしたら人生はおしまいになります。

 ちょうど一年前の年末休みにガッと書いて大晦日の宴会が始まる前にガッとアップロードした『吸血鬼はなぜ鏡の中で上下反転しないのか?』について、何を考えて書いているのかを書いて見る試みをします。今年の大晦日はガッと書け……ないかな……。

 当然ながらネタバレを含むのでよかったらまずは作品の方を読んでみてください。また、こちらで連載化しています。そろそろ更新しろという脅迫文章が上に表示されていますね……。

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神待ちSF幻想小説合同誌『心射方位図の赤道で待ってる』通販開始/文フリ東京ありがとうございました

Booth通販ページ ←今すぐアクセス!!!!(11/29追記 完売しました!)

 文フリ東京お越しいただいた皆様ありがとうございました。ねじれ双角錐群は四年目の参加でしたが、大分こなれてきたというか、なんか無言で設営してたりとかがスムーズになっててじわじわ来ました。今年は主宰の搬入部数読みが鋭く、夕方いい感じの時間に完売して思わず「神」と呟いてしまいました。神は身近なところにいるんだよな。待ってるだけじゃなくて探してみたら?

 通年通りねじれ双角錐群の次回参加は来年秋になると思います。春はなんか違うことで参加しようと思っています。よろしくおねがいします。

神待ちSF幻想合同誌『心射方位図の赤道で待ってる』 11/24文フリ東京にて頒布

 神待ちSF幻想小説合同誌『心射方位図の赤道で待ってる』を、2019年11月24日(日)第二十九回文学フリマ東京にて頒布します。スペースはク-39です。特設サイトはこちら

 文芸同人ねじれ双角錐群の四冊目の短編集です。今回のレギュレーションは「神待ち」。死語感がありますが、この令和の時代に改めて神待ちについて考えるという真面目な意味合いは特に無く、「神待ち」という単語から着想していれば何でもありというレギュレーションなので、実際集まった作品を見ていくと思わぬ飛躍があって楽しいものです。様々な神待ちがある。以下、収録作品をざっくりと紹介していこうと思います。

✊「神の裁きと訣別するため」 murashit

箇条書きで語り尽くせる着想を散文によって展開するのは、労のみ多くて功少ない狂気の沙汰である。よりましな方法は、あらゆる事象を項目として書き出して、並列に差し出すことだ。より論理的で、より無能で、より怠惰な筆者は、じゃんけんにかんする完全でしかし短いリストを書く道をえらんだ。

 タイトルはアルトー、あらすじはボルヘス、本文はmurashit。あらすじが示唆している通り、この小説は通常の散文ではなく、箇条書きです。遠近を自在に跳躍する独特の文体が短く箇条書きされ、じゃんけんを題材にしながら、ある存在を待っている主人公が描かれます。ズームインとズームアウトの律動感が素晴らしい作品。とりあえずこれだけでも立ち読みしに来ませんか?

🗻「山の神さん」 笹帽子

家出少女の神籬菜々は、神待ちアプリの暴走によりタイムリープし、大正時代の高校生・広瀬とマッチングしてしまう。下宿の部屋に泊めてもらうことなどできるはずもなく、代わりに広瀬と共に高みを目指す神籬だったが、背後には家出少女の時空補導を狙う魔の手が迫っていた!

 拙作。蓋を開けてみたら7作の中で最も「神待ち」をそのままの意味で使っています。家出少女を泊める側の男として絶対ありえなさそうなやつをもってこよう、と考えたら、女慣れしてない大正時代の旧制高校生という発想になりました。キャラ的にも文章的にも、絶対に出会わないはずの組み合わせで楽しくなりたいよなと思って書いています。

🔮「囚獄啓き」 小林 貫

地獄とは、とあなたは思索する。死、罪と罰、終わりのない苦しみ……あるいは閻魔。取り留めのないイメージが交錯する。あなたが創り出す「地獄」へと続く道は無関心で舗装されている。念入りに、決して剥がれ落ちることのないよう幾重にもそれを塗り固めるあなたの姿は否応無しに物狂おしく、また少しだけ滑稽でもある。

 しゅうごくひらき、と読むらしいと思っていたが、ひとやびらきという説もあり最近そっちのほうが有力。地獄を作るSF作品。神待ちの神を本来の意味に寄せて、地獄であったり救済であったりについて考えていく(読者に考えさせる)小説。ガジェットや技術によって現実的な条件がずらされたときに何が起こるのかというのを試していくのは正しくSFでありながら、結局は愛の話であるというのが、基本的には暗い話なんだけど光や救済を感じさせてくれます。この小説を読んで、地獄とは、と思索してくれ。

🦌「杞憂」 鴻上 怜

北米先住民族の少年杞憂は老呪術師焼き脛の命を受け、機能を喪いつつある〈ポアソンの分霊獣〉の夢へ潜る危険な〈ビジョンクエスト〉を決行する。純情報空間キウィタスで働く女子工学情報生命体の棗と茘枝は、客として訪れた杞憂と出会い彼の秘密へと迫るが……

 あらすじ文の情報量が多すぎて憧れてしまう。このあらすじを見て分かる通り、北米先住民族とかそういうジャンルと情報工学的世界観が交錯するタイプのハードSF、と見せかけて中盤から話が思わぬ方向に展開し、最終的に大団円で止揚される、圧倒的な物量とスピード感を持った鮮烈な作品。その飛躍を、ぜひ読んで確かめてほしい。

🍄「キノコジュース」 国戸 素子

俺は美少女魔法使いルシエが大好きな冒険者。大剣を振るって金を稼ぎ、いつかルシエに告白するんだ。でも最近、村のみんなの様子がおかしい。さらにルシエにも不穏な行動を見つけてしまう。村はどうなる?そして恋の行方は?俺は美少女魔法使いルシエが大好きな冒険者。いつかルシエに告白するんだ。

 あらすじを読むと「ん?」となると思うんですが、本文を読むと「んww?w」となります。ナンセンスというかシュールと言うか、ふざけてるのか本気なのかわからない、どこまでが狙っているのかわからない、ちょっとこの劇薬、濃すぎるからストロングゼロで割っとくかみたいな、そういう感じです、キノコジュース。読んで困惑しながら笑ってほしい。

🦀「蟹と待ち合わせ」 cydonianbanana

あたかも青く、青という言葉が失われてなお青みがかったような月下の海で、僕たちは今日も漂着物を探して歩く。人類が肉体を失う過渡期を生きる俺たちの日常と、私たちの《普通》。一人称複数の語りが重奏する、百年後のあたしたちによる克明な記録。

 まさかの、神待ちじゃなくて蟹待ち。SF界でも近年ニッチな盛り上がりを見せていると言われる蟹SFに彗星の如く現れた一作。人類が肉体を失う過渡期、個が失われた一人称複数の未来というハイパースケールなハードSFでありながら、それでいながらにして、綴られる音声感覚や南の島の旅情が心地よいんですね。かなり楽しく読めるからぜひ読んでくれ。

🐢「ブロックバスター」 津浦 津浦

ひたすらに大きくなっていく放浪大亀/大亀の帰還を待つものども/ものどもの王/その世界にあったもの/その世界にないもの/その世界の外にあるもの/どこにもないもの/どこかにあるもの/生きている私たち。

 僕がこの感想というか宣伝を書いている前提としては、各作品をPDFで事前に読んでいるということがあるわけですが、でもまだ刷り上がった本は手にしていないわけで、それでいうと本になったときの仕上がりが一番気になる作品がこれです。紙の本でないとやりにくい演出が仕込まれています。Kindle化したら演出方法が変わってしまうから書籍版を手に入れたほうが良いぞ。神、あるいは圧倒的な力を持ちすべてを変えてしまう存在としての大亀を待つ気持ちについての小説。並走する複数の語りが交差しながら盛り上がっていくのが素敵です。

 そういうわけで、11月24日は第二十九回文学フリマ東京に是非お越しください。ク-39で待ってる。