『波の手紙が響くとき』 オキシタケヒコ

 筐底のエルピスシリーズで今をときめく作家オキシタケヒコ先生の「音」をテーマにしたSF小説。4本の連作短編。4本合わせていい感じに長編というか、一冊に話がまとまっているような感じもしつつ、話の構成というかギミックは四者四様。「エコーの中でもう一度」、「亡霊と天使のビート」はなんだろう、優しい感じのSF。正当っぽく科学している。「サイレンの呪文」は打って変わってオカルティックな要素がぶちこまれミステリ風SF。これですごい好きになった。「波の手紙が響くとき」は表題作にして集大成。ここまでに積んだ伏線をきれいに使い、オチでの話の広がりにはそうきたかと思わさせられた。音響SFなどというジャンル、どうしたって狭くなりそうなところを、こう使ってくるか、という。また、全編に渡ってゆっくりと登場人物たちを深めていくやり方が誠実な感じがして好感を抱いた。オキシタケヒコ先生は一日三万字書いてください。

『筺底のエルピス 6 -四百億の昼と夜-』 オキシタケヒコ

 いま最も熱いシリーズ継続中のSFラノベ。今回もまあ「は?」感がすごいから今すぐ全人類が読むべき。前半はまあなんだかんだ言って順当というかなるほどねという感じはあったけど、後半はだからこそという形でこのクリフハンガーは良すぎるし、二秒以内に続刊を出してほしい(二年くらいかかりそう)(勘弁してくれ)

『筺底のエルピス 4 -廃棄未来-』 オキシタケヒコ

 いやーー。読み終わった後、「は!???!??!??!??!???!????!??!???!?!?!」ってなってしまった。もうそれだけで負けてるんだよなぁ。

 これ普通に皆読んでほしい作品なので、ネタバレっぽいネタバレは避けて感想を書くことになるんだけど、今になって振り返ると一巻とか大分詐欺と言うか、遠いところに来てしまったねぇという感じがする。あー。ネタバレを避けたら何も書けなかった……。いや、まあ一巻の時点で必要な要素は揃ってたはずなんだけど、真剣にそっちに目を向けさせない雰囲気があのときはあったじゃないですか。なんか。二巻とかなんか表紙がキャピキャピしてたし……。そう考えると、ネタバレせずに感想を語るのが難しいというのがネタバレなのかもしれないから、要は早く読んでくれということですね。頼む。

 

 以下、ネタバレ含めた感想を書きます。

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『筺底のエルピス 3 -狩人のサーカス-』 オキシタケヒコ

 この本の優れているところを2つ挙げさせていただきます。

  1. 前巻での表紙詐欺展開を踏まえ、どう考えてももはやサービスシーン的な要素は盛り込んでいる場合ではないが、時間軸を捻じ曲げることでラノベノルマを冒頭でそつなくこなす
  2. 同じく、時間軸を捻じ曲げることで終盤で百合厨もにっこり
  3. だがそれらを絶望でぶち壊す

 以上です。3つじゃん。

 状況は悪くなる一方で、この消耗していく感じは久々に読んだジャンルのように思え、非常にワクワクします。なんかこの「主人公が負傷した状態で逃げてる巻」ってなんか一昔前のファンタジー的な作りじゃないですか? そこに懐かしさを感じる。そして能力バトルとして正当なチート敵を上回るチート敵を上回るチート敵。立てた死亡フラグをしっかり回収する人々。せっかく掘り下げたのにすぐ退場するキャラ。しっかり伏線回収。王道の共闘。良さ。

『筺底のエルピス2 -夏の終わり-』 オキシタケヒコ

 すき……。

 一巻のとき、ラノベノルマみたいなんいらんのじゃないとか、その隠しといたギミック、もう使っちゃってこの先大丈夫なの、みたいなのあったんですけど、なんかその辺超えてきましたね。めっちゃ良い。と言うかなんかキャラ増やすんだけどちゃんとケリをつける姿勢、これは信頼できる気がするんだよな。なんか一人、いや君一巻のときそんなキャラじゃなかったよね、みたいなのがいたが。これはハードルをあげてしまった二巻なので、最後まで走りきって欲しいなあと思います。

 妹が僕っ子異世界知性体の依代にされる系小説が好きな方は早く読んだほうが良いやつですね。

『おそれミミズク あるいは彼岸の渡し綱』 オキシタケヒコ

 これ良かったです。おもしろ。はやく読んだほうが良いですよ。

 座敷牢少女に怪談を語ることをせがまれる話。怪談に関する怪談であり、メタ怪談であって、メタ怪談SFを経て、怪談ミームの話というところもまたメタになる。単巻完結の良質な小説ということでこういうのがどんどん世に書かれていってほしい。

 設定が面白そうだと思って読み始めましたが、当然こんな設定だと動きが少ないのでは、という疑問が当初はあり。しかし挿話として挟み込まれる怪談や効果的に使われる術的なやつが物語をうまく駆動していてよかったです。こういう催眠って便利すぎるきらいはあり、でも便利すぎるのきらいじゃないので。伝奇要素の入った話で怪談が現実を侵食してくるシーンも絶品で、型だよなーと思いました。

『筺底のエルピス -絶滅前線-』 オキシタケヒコ

 漢字系(?)異能厨二SFバトルラノベ。結構面白かったので多分続刊も読みます。箱の話。作者はSF畑の人っぽいですが実際SF的設定や演出がなされており、『鬼』の退治方法もSF的絶望感があって良い。だいたいこの退治すべき鬼というのがプログラムのような存在として理解されているのがSF感がある。あと妹が宇宙超存在に憑依されたボクっ娘になるタイプの小説が好きな人はぜひ読むべきだと思います。