『一九八四年』 ジョージ・オーウェル 高橋和久訳

 2021年にもなって読んだ。

 読んでなかった名作というと大体内容を知ってしまっていたりということがありがちなんだけどなぜか内容も全然把握してなかった(ビッグブラザーがいるらしい程度)ので、先の展開が読めなくて素直に面白かった。言葉の設定が上手い。第二部に行く時のツイストは予想外だったし、終盤も予想された流れではあったけど道具立てがひねってきて上手いな~と思った。本のところが熱い。怖い!

『わたしの名は赤』 オルハン・パムク 宮下遼 訳

 なぜ積読に入っていたのか記憶喪失だけどなんかミステリ的な文脈で勧められた気がしています。確かに殺人事件が起きて犯人が分からない(容疑者三人のうちの誰かである)という状態で話が進んでいくので、推理小説的な趣向を取り入れてはいるけれど、ミステリとしてのエンタメ的な面白さがあるのかというと別にそんなになくて、しかしこの西洋と東洋の相克を中心に繰り広げられる論争、ものすごいボリュームの挿話、オスマントルコの香り、そして語りの重層がすごい。語り手が章ごとに変わって、主要登場人物たち以外にも死体だったり犬だったり金貨だったり赤だったりが語り手になっていくというのが単純に多彩で面白い(細密画だね)。それで彼らがみな語り手であることに自覚的だというところで、十六世紀っぽくないというかモダンな感じが入り込んでくるのも、やっぱり面白い。あと、三人がそれぞれ三つの寓話を話すところとか、ダイジェスト的に絵で話が進むシーンがすごい好きだった。長くてちょっと疲れるけど良い読書。