『東雲侑子は全ての小説をあいしつづける』 森橋ビンゴ

 クレイジーサイコ美少女作家が3巻かけて真人間ノーマル少女になってしまう悲劇を描いたライトノベルでしたね。これは人類の損失ですね。ところで冒頭部分、「やれやれまたドイツか」方式かと思ったのに、そこ(どこ?)はちゃんと回避する。そういうの良心というか、読者の心理を考えて書いていてこれこそが娯楽小説なんだよなぁと思った。読んでて楽しいもんな。普通に技術力の高さを感じる三部作だった。

『東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる』 森橋ビンゴ

 前作

 面白かった。結構怖くないかとも思った。引き続き、恋人のことがわからないという話が延々描かれ、無口無表情何考えてるかわからないヒロインの心情が、しかし読者に対しては彼女の小説が挿入されるという方法で開示されるというポルノめいた(褒め言葉)構成でこの二巻も進む。けどなんか最後の方、言いようのない怖さというか、一歩間違えばこのヒロインは色々ヤバいのではないかという……。ぜひ一歩間違って欲しいと思ったけど良識的な小説なので間違わなかった。残念。

『東雲侑子は短編小説をあいしている』 森橋ビンゴ

 見えないこと、疑うこと、そのあたりが正しくとても良く出来ていると思った。その前提を有しながら突破口が小説というチートツールなのは、まあこれが小説だからねというところで若干引き戻され感はあるんだけれど、謎解きに走ったわけでもないので結局は好感が持てる。わからないものをわからないままに。

 なんとなく小説のことが書いてある小説はダメみたいな偏見に近い経験則があったので気になりつつも今まで読んでなかったけど、結構面白かったので読んでよかった。

『ヴァンパイア・サマータイム』 石川博品

 青春恋愛系であとがきに書いてあるとおり吸血鬼が普通の存在なので別に吸血鬼要素をなにかうまく使っているわけではない。強いて言えば欲望されたいポルノとして使っている。ポルノってとてもいいですね。吸血欲求なら女の子に欲情してもらえてなおかつそれがしょうがないみたいになるからな。お話は平凡だと思ったけど、ギャグが好みっていうかなんか登場人物の漫才力が高かったと思うので、そこで楽しく読めた。