『ヨハネスブルグの天使たち』 宮内悠介

 落ちる少女ロボットSF連作。ロボットの使い方が面白く、連作の繋がり方も絶妙な具合だったように思う。今度はこう落ちるのか、みたいな。落下を書きたいというところにSFを後付していくような感覚。というか設定は意味不明でツッコミどころ満載であり、真面目に考えたがる人は受け入れられないと思うから、一般的な尺度で言うとSFとしてはダメなんじゃないだろうかと思った。しかも「あんま考えなくていいですよ」みたいなポーズを発信してないからな。でも個人的には別に問題なく好き。舞台の異国感もよい。ヨハネスブルグ、ニューヨーク、アフガニスタン、イエメン、東京。その舞台であることに必然性があるかといえばよくわからないし、ニューヨークと東京はともかく(しかしこの東京は今の東京ではないのだが)行ったことなんてない国にリアリティもよくわからないのだけれど、不思議な質感とか空気感みたいなものを漂わせることに成功している。

『盤上の夜』 宮内悠介

 ボードゲーム(囲碁、チェッカー、麻雀、チャトランガ、将棋)を題材にしたSF。麻雀だけ、ほんの基礎知識くらいはあったほうが読みやすい気がするが、基本的にはゲームの中身が問題になるような描写はほぼない。

 こういうSF読みたかったなーというところをえぐりこんでくる良作でした。というかSFなのか? よくわからないですが”このジャンル”とでも呼ぶべきこのジャンルが好きです。エンタメ小説として最もよくできているのが麻雀回の「清められた卓」と思いますが、これはもうなんかSFと呼ぶとウソだしミステリと呼ぶのも反則っぽいので、”このジャンル”ということになりましょう。人智を超えるものというか、天才というか超越というか、そういうものを扱うのが”このジャンル”なのかもしれません。ノーマル人類各位に於かれましてはもっと蹂躙されてほしいものです。そういう意味では表題作「盤上の夜」と、この連作短編の終局である「原爆の局」が好きです。小説っていいよねーと思います。囲碁も勉強したいな。