『インシテミル』 米澤穂信

 タイトルを明示的に回収してくれ!!!!! ネタバレ注意。

 なぜミステリにはミステリオタクが出てくるのかという話を突き詰めていったみたいな話で、まあこういう世の中になってくるとミステリオタクが出てこないとどうしようもないのかもしれないと思えた。普通に面白かった。大迫はなんかアーキタイプがありそうなキャラだな。この流れだとクラブ側になんかけりをつけないと上手く終われないんじゃないかって思ってたけど、須和名さんを使って最後こうしてくるのめちゃめちゃ決まっててすごく良かった。しかしタイトル、一応最後の方にちらっと出てきたけどそれきついでしょもっとちゃんと回収しろと思いつつ、メタ的にはものすごい回収されてるんですよね。ずるいね……。とても面白かった。

『いまさら翼といわれても』 米澤穂信

 良かったから2秒以内に次を刊行してくれ。ミステリとしては弱い作品が結構あると思います。『箱の中の欠落』なんかはダメじゃないかなと思った。動機のとこ、ハウダニットだからいいんですと言い切れない無理さがないか? まあでもキャラ小説だからいいんですということだと思うし、キャラ小説だからいいよ。許した。『長い休日』と『いまさら翼といわれても』が好き。えるきてるよ。次最終巻かな? 2秒以内に出してくれ。

『犬はどこだ』 米澤穂信

 犬を探す話かと思ったら犬を探す話ではなかった。なんか犬と会話できるとか特殊能力に恵まれた主人公なのかと思ったらそんなわけでもなかった。妹に恵まれてるだけだった。妹小説だった。妹はどこだ。

 別に米澤穂信に詳しいというわけでは全くないが(だからこそこんな初期作品いまごろ読んでるんだけど)、いかにも米澤穂信感が出ていて良かった。二つの調査のつなげ方も、主人公の鬱屈も、事件の結末も、タイトルもそんな感じ。救いがない。

『秋期限定栗きんとん事件』 米澤穂信

 最高案件ですねー。常々感じていることですが、こういった小説がもっと書かれるべきなのではないでしょうか。今まで読んでなかったくせによく言うな。でも、1巻のタイトルが春期限定いちごタルト事件で、あらすじを読んだら小市民を目指す小鳩君と小佐内さんに振りかかる日常の謎みたいな感じだったら、なかなか僕みたいな需要層が手にとって読まないじゃないですか。その辺りに改善の余地があるのではと思わざるを得ません。

 環境は整ったのであとは最終巻で完結させるだけかと思うと大いに期待しています。と思ったけど最終巻がもう7年ほど出てないぞ。はやくして。

『夏期限定トロピカルパフェ事件』 米澤穂信

 これはわりと最高案件に近い感じがするので、次巻?完結編?が最高案件になることを祈るばかりであります。主人公が最後死んで欲しい(まだ言う)。今回は絶えず食べてるところとか、最後の方わたしたち痴話喧嘩もできないみたいなこと言ってそれも打算っぽいのとかが良かったと思います。ただ、最終的なトリックに関しては、確実に、かつ効率よく目的を遂げるためだったらもっといい方法あるんじゃないの?と思えてしまう部分もあります。そこは演出を施したかったのだと脳内補正すると最高案件度合いは上がるんですけど、多分そうではないんだよなぁ。なんにせよ次が気になります。

『春期限定いちごタルト事件』 米澤穂信

 面白かった。まだプロローグというかキャラ紹介だけど。こういう業のある主人公はクライマックスで死にそうというか死んで欲しい(非常に偏った見方)。一方で業のあるヒロインは勝利して欲しい。業が深いのはどっちだ。いちごだらけなの。今年も、絶対買うの。

『さよなら妖精』 米澤穂信

 いいですねー。いいです。これは。

 確かにこれを古典部で架空の国でやると微妙というかちょっとダメだろうと言う気がしますし、更にこれをミステリ的にというか日常の謎的に見れば全然まったくダメな爆死案件だとおもいますが、そういうフィールドでそもそも読もうとしていなかったので、なんだか良かったです。長い短編小説っぽいな。というか、説明しようとして振り返ればダメな点ばかりの爆死小説に思えてきますが、なんか読んでる間楽しかったので、良かったと思います。感想のレベルが低すぎるぞこれ。

『ふたりの距離の概算』 米澤穂信

 いいタイトルだ。大日向氏つよすぎるでしょう。遠まわりする雛みたいなのを書いておいて次巻でこういうのを入れてしまう強さ……。プロ作家のプロ性というのは文章力とかそんなんではなくてこういうことをできるか否かではないのか。違うか。

 あとはタイトルとマラソンという学校行事の使い方のうまさで、安楽椅子どころか走らされている探偵(と表現するとじわじわくる)。でも、走ってるんだけど、事態を劇的に変えられるとは思っておらずむしろ無力感にずっと囚われている。そして実際、すべてハッピーエンドにならないところが持ち味なのでした。面白かった。

『遠まわりする雛』 米澤穂信

 あれーなんかすごい面白くなってるーという感覚。中高生な感じがすごい。青春っていうよりももっと濁っててきれいなんだけど。表題作。遠まわりする雛。うーむ。なんかしらんけど読むまで鳥の雛しか想像してなかった。違った。でも英語タイトル……。ともかく良さがあった。良さ。

『クドリャフカの順番』 米澤穂信

 よく作りこんでいるなぁと思った。冷静に考えるとアンフェア要素もあるけどまあフェアさを重視する作品でもないし楽しめばいいのだろう。よく作られている。あとヒロインの一人称でヒロインがかわいいのはすごい。

 おそらくこの苦味みたいなものがシリーズの持ち味なのかなぁと思う。しかし読んでいるとこちらの人格に問題があるような気がしてくる。最近そういうのが多い。