『プラ・バロック』 結城充考

 前に、『躯体上の翼』を読んだときにめちゃめちゃ面白くてヤバいと思ったので、同じ作者の他の作品も読んでみるかと買って例によって長期間積んであった一作。悪くはなかったと思うけど残念ながら躯体上の翼ほどは楽しめなかった。躯体上の翼でハードルが上がりすぎていたかもしれない。

 日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作なので、ミステリーということになるわけだけど、提示した巨大な謎というか広げた大風呂敷に対して、パズラー的に正解が出せるわけでもなく、あるいは超常的な概念を導入してぶっこわしてくるでもなく、なんか、え、それでいいのかよという感じで畳まれてしまったのが不完全燃焼だった。納得感がない。かわりに雰囲気がもっと好みであればそちら方面で楽しむことが出来たのだろうけれど、そちらもそちらで、SF感やサイバーパンク性が入ってくるかと思うとそうでもないという、振り切れない感じがあった。

『躯体上の翼』 結城充考

 面白いです。おすすめ。ディストピア的終末世界における生体兵器人間のSF。解説やあらすじで「硬質」という表現が使われており、言いたいことはよくわかる。硬質さをもたらしている要素はたくさんあるとおもうけれど、一つには語彙の使い方が面白いというところがあると思う。中国語的な(的なというか時々そのまんま中国語の)言葉とか、一文字の人名とか。語彙がいい(語彙がない人の感想)。中盤の群像劇的な流れ、空中戦の描写、悪役の良さ(道士よすぎるでしょ)、全方位的に良かった。楽しい。