『宇宙戦争』H・G・ウェルズ 小田麻紀訳

 実は読んだことなかったのがマズいかなと思って……。火星ネタの材料探しでちょっと読んで関係なさそうってなって放置してあったのをちゃんと読み直した。

 普通にいま読んでも面白いな。当時の感覚からしたらものすごい先進的なSFスリラーエンタメだったろうというのがわかるし、っていうか今でも全然楽しめる。ああ源流これなんだみたいなメタ視点で読んでも楽しい。さすがにオチというか決着方法は少し古びてしまった感があるけど。まあそれだけ使い回されまくったということか。

『小説 天気の子』 新海誠

 小説版。小説と映画の媒体の話があとがきに書いてあるのは面白かった。それ以前に序章が映画と変えてあるところでめちゃめちゃオタク笑顔になってしまった。とはいえ終盤の勢いはやはり映像でないとでてこない感じがあり、この内容だと映画がいいよねとなる。

『いまさら翼といわれても』 米澤穂信

 良かったから2秒以内に次を刊行してくれ。ミステリとしては弱い作品が結構あると思います。『箱の中の欠落』なんかはダメじゃないかなと思った。動機のとこ、ハウダニットだからいいんですと言い切れない無理さがないか? まあでもキャラ小説だからいいんですということだと思うし、キャラ小説だからいいよ。許した。『長い休日』と『いまさら翼といわれても』が好き。えるきてるよ。次最終巻かな? 2秒以内に出してくれ。

『BEATLESS』 長谷敏司

 なんか前からいつか読んだほうが良さそうだと思ってたけど読んでなかったけど布教されたので読みました。普通に面白かった。なんか読んでてエロゲかとかアニメかとか思ったのだが、実際もとはエロゲだったんだけど色々全年齢にも展開していって最近はソシャゲになってソシャゲから入った層が元はエロゲだと知らないみたいな雰囲気を感じなくもない作品だったのだが(Fateやったことないです)、なんか読んだ方が原作(連載をまとめたやつ)ではなくてアニメ化とかを受けて加筆修正再構成したバージョンのやつだったらしいのでそれが影響しているのかもしれない。映像化を前提とした無駄な尺のなさというか(いや、全体としては長いのだが)が感じられた。

 レイシアかわいすぎませんか? レイシアお姉ちゃんのバイノーラル甘やかし音声を出してくれ頼む

『百億の昼と千億の夜』 光瀬龍

 昔、萩尾望都の漫画版を読んだことがあるけど原作は初読。

 超スケール時空哲学SF。超越者に挑むはシッタータ、プラトン(途中からロボ化して全部セリフがカタカナになって超絶読みにくいぞ)、あしゅらおう(なぜか美少女)。そして敵がナザレのイエスだったりMIROKUだったりする超スケール。最後のオチの部分は(書かれた時期を無視して)現代から見れば割とありがちで、ショートショートくらいの長さでも十分ありうる内容なんだけれど、ともかく壮大なスケール感の設定と、終末の荒涼とした世界観の描写で読者を引き込み、読ませる力があると思う。そして原作を読んで改めてこの雰囲気を表現した漫画版もすごかったなと。

 ナザレのイエスが長いから(?)、「ナザレの!」って呼ばれだすの好き。

『聖の青春』 大崎善生

 ノンフィクションというかこのジャンルをあまり読まないのですが、映画もやるし読んでみました。非常に迫るものがありました。いま手元に盤駒がなく、棋譜を並べられません。なんとなくフィジカルに並べたくなってしまうパワーがあります。小説として見ても非常に優れてしまっていて、書き手がすごいなとも思いました(関係ないですがノンフィクションが小説としての描写や緩急に優れていると、それだけにノンフィクション性が損なわれてしまっているというか、脚色の存在が意識されてしまってコンフリクトに陥るというのが僕があんまりこのジャンルを読まない一つの理由だと思うんですけど、それを超えて良かったです)。小説として見たときの羽生さんのヒロイン度がすごい。映画見に行きます。

『ふたりの距離の概算』 米澤穂信

 いいタイトルだ。大日向氏つよすぎるでしょう。遠まわりする雛みたいなのを書いておいて次巻でこういうのを入れてしまう強さ……。プロ作家のプロ性というのは文章力とかそんなんではなくてこういうことをできるか否かではないのか。違うか。

 あとはタイトルとマラソンという学校行事の使い方のうまさで、安楽椅子どころか走らされている探偵(と表現するとじわじわくる)。でも、走ってるんだけど、事態を劇的に変えられるとは思っておらずむしろ無力感にずっと囚われている。そして実際、すべてハッピーエンドにならないところが持ち味なのでした。面白かった。

『遠まわりする雛』 米澤穂信

 あれーなんかすごい面白くなってるーという感覚。中高生な感じがすごい。青春っていうよりももっと濁っててきれいなんだけど。表題作。遠まわりする雛。うーむ。なんかしらんけど読むまで鳥の雛しか想像してなかった。違った。でも英語タイトル……。ともかく良さがあった。良さ。

『アイの物語』  山本弘

 作中作形式で人工知能モノの短編を合わせて一つの長編としてあるのだけれど、その形式である必要がそんなに感じられなかった。『詩音が来た日』と表題作の『アイの物語』がとてもおもしろかったので、前半を冗長に重ねられるよりもこの二つに集中できたほうが良かったのではという感じがした。というか詩音が来た日だけ書いて欲しい。詩音が来た日だけ書け。詩音来い。頼む。

『クドリャフカの順番』 米澤穂信

 よく作りこんでいるなぁと思った。冷静に考えるとアンフェア要素もあるけどまあフェアさを重視する作品でもないし楽しめばいいのだろう。よく作られている。あとヒロインの一人称でヒロインがかわいいのはすごい。

 おそらくこの苦味みたいなものがシリーズの持ち味なのかなぁと思う。しかし読んでいるとこちらの人格に問題があるような気がしてくる。最近そういうのが多い。