『雨の日も神様と相撲を』 城平京

 なぜこの題材で書こうと思ったのか。かなり異色作なきがする。

 異色な設定の活かし方や終盤の着地点は良かった。さすがに主人公が無根拠に強キャラすぎるのではというのと、殺人事件のほうが挿話として刺さり方があまりにも浅すぎないかというところが気になった。

『虚構推理 スリーピング・マーダー』 城平京

 虚構推理シリーズ、三冊目の小説。二冊目の 『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』 を読んだときに、面白いんだけど長編が読みたいなと感じたところがあったため、本作を読み始めたとき、これ短編集では、という疑念で一瞬残念な気持ちになったりしたのだが、最終的には長編的にまとめてきたので良かった。理外の存在が絡んだ事件に対して虚構を構築して真相が二転三転する構成の妙は相変わらずで、楽しい。峰打ちの下りとかメチャクチャなんだけど、この作風だと何をやっても許される感じになるのが強いな。

『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』 城平京

 短編集。本編(?)の既読を前提としている(と思われる)スピンオフ。

 相変わらず虚構推理をする話が、幾分スケール小さめで5編。岩永琴子の本来業務である怪異のお悩み解決が中心。付喪神とかがチートで笑う。鰻屋のやつみたいな変則的なのも楽しい。

『虚構推理』 城平京

  アニメ化が決まって話題になっているときに読んだことないって言ったらそんなわけ無いだろ的なをいただいたのでキャッチアップするために読みました。そしたらめっちゃ好きなやつだった。別にあらすじにだいたい書いてあるから特にネタバレ要素ないし説明してしまうと、都市伝説の怪異に対して合理的な説明をつけて説得力を獲得することで退治してしまうという話。めっちゃ好きなやつじゃん。主人公兼メインヒロインが敬語系腹黒美少女。めっちゃ好きなやつじゃん。そのヒロインとバディを組む九郎と合わせてふたりとも怪異に片足突っ込んでおり真人間ではない。めっちゃ好きなやつじゃん。あと琴子の造形で好きなところは九郎への好意の発端が特にそういう怪異的な理由ではない(いや全く無いのではないだろうけど)というのが良いと思う。めっちゃ好きなやつ。小ネタ的な天丼みたいなやつとか罵倒が挟み込まれるやつとかもめっちゃ好きなやつ。短編集もあるみたいなので読みます。

『バビロン 3 ―終― 』 野崎まど

 天丼。同じこと3回やるのやめろ(もっとやれ)。僕はこういう様式美楽しいタイプなんだけど、同じことの繰り返しじゃないかって批判的な感想を書いている人も結構いるようです。まあ、繰り返しだけどね……。

 しかし野崎まどにかかれば米国大統領すら萌えキャラになるというのは素直にリスペクトせざるを得ないよなぁと思いました。あとサミットのシーンは笑えた。大真面目にアホなことをやり始めるのすごい。

 それでこのあとどうするの。着地点が見えない。

前:2巻「バビロン2―死―」

 

『おそれミミズク あるいは彼岸の渡し綱』 オキシタケヒコ

 これ良かったです。おもしろ。はやく読んだほうが良いですよ。

 座敷牢少女に怪談を語ることをせがまれる話。怪談に関する怪談であり、メタ怪談であって、メタ怪談SFを経て、怪談ミームの話というところもまたメタになる。単巻完結の良質な小説ということでこういうのがどんどん世に書かれていってほしい。

 設定が面白そうだと思って読み始めましたが、当然こんな設定だと動きが少ないのでは、という疑問が当初はあり。しかし挿話として挟み込まれる怪談や効果的に使われる術的なやつが物語をうまく駆動していてよかったです。こういう催眠って便利すぎるきらいはあり、でも便利すぎるのきらいじゃないので。伝奇要素の入った話で怪談が現実を侵食してくるシーンも絶品で、型だよなーと思いました。

『バビロン 2 ―死―』 野崎まど

 えげつねえ!

 読む前に1巻を読みなおしたんですが、やっぱり一番好きなのが「曲世ーーーーーーーーーーーッ!!!!」のシーンなんですけど、本巻でも「曲世ぇッ!!!!」で声出てしまったし、後半明らかにそれ意識的に使ってるよねっていうか「名を叫ぶことだけだった」とかもう狙いすぎだろ。本文に書かずに読者の脳内で「曲世ぇッ!!!!」を再生させるのやめろ。技術だと思う。技術?

 もう「曲世ぇッ!!!!」と「正崎さぁん」だけのドラマCDを出してほしい。

 絶対的なチート能力者っぽいのを出しても、それが(善かどうかはともかく)悪ではない、というのがこれまでの野崎まど作品だったと思います。1巻から本巻の途中までは、曲世が一体どうなのか(どちらなのか)、あるいはひょっとすると彼女は彼女なりの何か理念を持って行動していて、そこに着地点があるのか、みたいな読者の希望を見事に打ち砕く、悪。ここからどのような結末を迎えるのかとても楽しみです。早くだして。

前:1巻「バビロン 1 ―女―」

次:3巻「バビロン3―終―」

『バビロン 1 ―女― 』 野崎まど

 僕の中で2014年ベスト作家(自分が読んだ年基準)である野崎まど先生の新刊なのでもちろん秒速で買って1.5ヶ月積んでたんですが、読みました。

 攻めすぎだろ。

 まず主人公がおっさんなんですよね。あとなんですかこのあらすじ。「東京地検特捜部検事・正崎善は、製薬会社と大学が関与した臨床研究不正事件を追っていた。」いやいや、これ野崎まどじゃなかったら絶対読んでないぞ。手に取らない自信がある。僕が野崎まどの一連の作品を読んで魅力だと思ったのは超絶強いヒロインが出てきてだいたいそいつが主人公を利用したり蹂躙したりして最強な感じで大半は狂ってるんだけど狂ってるなりの超強力な論理でなんか納得させに来るレンガ方式ですごいっていうやつなんですけど、この本なんか、ヒロインが出ない。は? 読めども読めども出ない。ヒロインがいないからちょっと和ませる要素担当みたいな奴があからさまに消えそう。半分まで読んでもヒロインが出ない。流石にふざけないほうがいい。と思ったら出た。と思ったら終わった。一冊かけてプロローグだった。そういうの2でやっただろ。でも一冊使うのは攻めすぎだろ。どんだけ自信あるんだ。でも最後まで読んでしまったし続刊出たら買うよなと思うと、講談社タイガずるくない? メディアワークス文庫様にいくらか包むべきだと思う。

次:2巻「バビロン 2 ―死―」