『HELLO WORLD』 野崎まど

 私は野崎まど先生をリスペクトしているので新刊を読みました。普通に面白く、普通に良かったです。この、アニメ映画向けに書きましたよ感すごい。こうポスト「君の名は」といえば聞こえが良いが要するに二匹目のドジョウ狙いが群雄割拠するアニメ映画界においてやることやってやりますよというやることやってやった感じがある。やってやりました。

 映画の原作と知って読んでいるから余計になのかもしれないが、構造が映画らしいフォーマットになっているし、映像化を意識した画作りも見て取れて、でもキャラクター像(特にこういうヒロインと、『先生』の概念というか師弟関係みたいなものへの脆弱性)は野崎まどだし、オチも大人しめだけど野崎まどなんだよな。大人しめだけど。正解するカドの反省(?)を踏まえているな(???)

 作者プロフィールのところに「独特の世界観と緻密な描写力」とか書いてあって、そうだっけ感でじわじわきてしまった。映画見に行くぞ。

『海を見たことがなかった少年―モンドほか子供たちの物語』 Le Clézio   豊崎光一・佐藤領時訳

 何しろ夜が明けるだけで4ページほどかかったりするのでかなり読みにくいのですが、しかし何年かぶりにもう一度読んでみると最高案件であると言わざるをえない部分もあり、おすすめです。通底するのは子供の視線、太陽の反射、原野の上を飛ぶジェット機。比較的読みやすく自分がいちばん好きなのは「リュラビー」という話でこれはリュラビーという女の子が学校にいくのをやめる話です。もう一つすごいのが「牧童たち」という話でこれは牧童たちが出てきます。さすがにその説明はひどい。この本で登場する子どもたちは皆、透明感にあふれています。川本三郎の解説にも書いてあるけれど、リュラビーやガスパールは本当に透明な存在にはならず、あるいはなれず、最後にはこちらの世界に帰ってきてしまうので、その寂しさがまた好きなのかもしれません。

『チグリスとユーフラテス』 新井素子

話としては、とても面白い小説だった。
だが。
だが、やはり私には、この文体がちょっと気に入らなかった。いや、ちょっとなんてものではない。

私にはどうしても。
受け入れられなかったんだよう!

まあこういう文体でした。一人称の時の文体が気に入らなくでも、「これはキャラ作りだ」と思ってやりすごしつつ読んでいけるんですが、三人称っぽく書いて あるシーンでも使ってあると若干……。しかし自分でもなんで気に入らないのかよくわかんないんですけどね。単に慣れてないからかもしれませんしね。
でも物語の作り方としてはおもしろいなぁと思いました。下巻(レイディ・アカリを起こしてから)は、結構面白くなってきたので、後半は楽しく読めました。しかしルナちゃんっていうキャラはうまく作りましたねぇ。  逆ロリババア。